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2005/11/11(金)
真っ赤な
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狭いキッチンで食べ物を探す。テーブルの上には林檎がひとつ。息を吹きかけて柔らかい布で磨く。真っ赤で可愛い林檎がひとつ。 泣き声は疲れ果てたテーブルの下、抱いた膝の痂もきれいに無くなった。散らかったこの部屋にただひとり。左腕を掠る景色など見たくもないのに。 君はこの身に触れて素敵な嘘をつく。 腐っていく。心の底から腐っていく。君の手に触れられて肉体は脈を打つばかり。 もう、腐り果てていく様だ。 「一思いに突き刺して。真実のナイフを見つけて。跡形も無く刻んで欲しい」 真っ赤な可愛い林檎は微笑んだ。
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