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2008/10/13(月) “雪村食堂物語”第一夜
「もういいのかい?」

「えぇ。」



別れの言葉は十分過ぎるほど交わした。


今私の亡骸にしがみ付いている娘とも、
それを見守るリーゼント姿の娘の旦那とも、
壁に向かって涙を隠しながら泣く
長年連れ添った夫とも、

そして


「…ふふっ。」


「?」


自分の為に泣いてくれている面々を見て
突然吹き出した私に

水色の髪をした死神は不思議そうな顔をする。



「おっと。
折角最後を見取ってくれた人達を見て笑うなんて不謹慎よね。」



死神さんは益々不思議、といったかんじで
首をかしげると高く結った髪が揺れていた。



「いや、なにね。
皆改めて見るとほんと年取ったのに、
なーんも変わってないなと思ってね。」



再び下の世界を見る。

我が子である娘は
気が強くて、
なかなか泣いている姿なんて見せたがらなかった。

それに対し
あの子の泣き崩れる姿は何度見たことか。




「こんなに泣かれちゃ
心配であの世に案内してもらえないねぇ。」




夫にプロポーズされた日のこと
人生で最初で最後の結婚式の日のこと
娘が生まれた日のこと
娘が嫁いでいった日のこと
孫を抱いた日のこと



死してなお続く走馬灯。



それを見てふと気付く。



そうだ、
すべてはあの日からだ。



(第二夜へ)


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