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2008/01/30(水)
浜田山駅
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浜田山駅。きっと一生忘れられない。
アオイはその頃一人で夜行バスに乗って一人で東京に行くなんてすごい事 まさか出来るとは思わなかった。京都駅から夜行バスで東京へ。どこで降 ろされたのか記憶がないたぶん渋谷とか新宿とかど真ん中だろう。右も左 も分からない。早朝だったから人影は同じバスを降りた人だけ。
「迎えに行く」と言ってくれなかったからもうダメなんだと実感した。
とにかく歩き回り、やっと電車の乗り場を見つけて「浜田山駅」に向かっ た。駅を降りてとりあえず方向も分からないけど歩き出したらその人が寝 起きのほぼパジャマで近い姿で歩いて来た。レンガの通りを歩き、大きな 道路に突き当たってその道路を渡り左へ。細い路地へ入ったところに住ん でいた。相変わらず金魚を大事に買っていた。京都でのアパートと比べる とかなり狭い。その人は第一志望は京大の院だった。でも不合格で東大に 行った。正直その方が都合がよかった。会わなくてすんだから。
だけどバカなアオイはまたよりを戻して東京まで行った。
なにをしたのか覚えてない。どこかに出かけた。そして一泊して帰った。 夜はその人のジャージを借りて寝た。なにも手をだしてこないからさらに 「やっぱりもうダメなんだ」と思った。
帰りに東京駅の改札で手を振った。「これで最後。」そう思った。階段の ところですでに涙が出て来て、新幹線の中で泣いた。
行かなければよかったと思った。空しい最後の挨拶だったのかな。
忘れていくことはどんどん忘れて行くのに鮮明すぎるほど残るものがある。 それが悲しいものばかり。
結局あんな人に振り回された自分が悪いのだとしか言えない。好きだと言 われて舞い上がって。なにも見えてなかった。
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