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2008/11/26(水)
前兆
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父方のばぁさんが亡くなる
二年前の正月、年始の挨拶
にばぁさんの家に行った。
『明けましておめでとう！』
と元気良く玄関を開けるが
返事がない。
親父の姉一家がいるはずなのに
おかしいと思い、ばぁさんの
部屋に行くと、
ばぁさん一人でテレビみてる。
『皆は？』と聞くと
『買い物じゃないかい？』
と返してきた。
『お茶でも入れようかい？』
と来たもんで
『俺が入れて来るよ』
と笑顔で返し台所へ…
おぼんにお茶セットを乗せ、
ばぁさんの部屋に戻ると
『茶箪笥にクッキーがあるから出しな！』
って言われた。
茶箪笥を開けると同じクッキーが二つあった。
そのうち一つは未開封。
俺は開いてるほうの缶を持ち
コタツに入ると
『新しいの開けなよ』
とばぁさん…
お言葉に甘えて未開封の缶のビニールをはがして食べ始めた。
程なくして一つ年上の従兄弟が帰宅してきた。
新年の挨拶も程々に、
『昨日のプロレス見た？』
なんて言ってきやがった。
俺も従兄弟も新日本プロレスの大ファン！
毎年一月の頭に東京ドーム大会があり
その日の夜中に二時間枠で放送されていた。
よく出来た従兄弟、
ビデオを録っていたようだ。
ばぁさんの存在を無視しつつ
足速に従兄弟の部屋へ…
ビデオに夢中になっていると
何やらばぁさんの声とおぼしき
叫び声が…
俺と従兄弟は一瞬目を合わせ
叫び声が空耳で無い事を確認すると
ばぁさんの部屋に向かって走り出した。
泥棒でも入ったか？
転んで怪我でもしたか？
ばぁさんは９５歳…
心配の中ばぁさんの部屋に
『どうした！？』
と駆け寄ると
『あたしのクッキー食べたの誰だい！』
鬼の形相で睨みつけてきた。
次の年の二月、
長い眠りにつきました。
笑って下さい。
こーすけ
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