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2007/01/10(水)
空の色と海の色の関係についてのメルヘン
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T
限りなく透明に近いブルーの空と僕との間に
分け隔てるものはなにもない
なのに僕が空になれないのは紛れもなく
最も大きな悲しみの1つだ
吹き抜ける風がタンポポの綿毛を運んでゆくころ
空は今日より少しだけブルーに染まる
それは今日と変わりない色
変わりないブルー
僕はまだその色を好きにはなれそうもない
U
空を越えてゆくイメージで
泳ぐような手つきで
大空に円を描こう
少し歪んだ円が暖かい風に溶けたら
見上げた顔をそっと記憶して
あのブルーのところに持ってゆこう
その記憶に今日と変わりないブルーもきっと蒼ざめて
ゆっくりと海色に変わるだろう
それを見た顔をそっと記憶して
今度は何処へもってゆこう
V
遠く遠く遠く遠く
遥かに遥かに遥かに遠く
遥かに静かに
遠く深く
波の音も届くことはないところで
僕が眠りにつく
「嗚呼、貴方がたも其処に居られたか。」とひとりごつ
暗く暗く暗く暗く
深く遠く深く遥かに
暗く温かく
蝉の声も届くことはないところで
「やあ、貴方がたに見せたいものがある。」とひとりごち、
僕は遊流やかに記憶の隅からそれを取り出すとしようか。
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