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2007/02/22(木)
デカローグ
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T 羊たち
彷徨える雲は遊子
行く宛てなき風は円
故人の多く
同じく哀しみ
さ迷える魂の遊子
さ迷える魂の旅に生き旅に死ぬ
藻を掻いては移ろい
藻を掻いては移ろい
藻を掻いては移ろい
また移ろい
やがては雲ひとつない蒼
U やはり
やはりそれを旅と呼ばずにはいられまい
V ほがらかに
「ほがらかとは、恐らくは、 悲しいときには悲しいだけ 悲しんでられることでせう?」
貴方の時はそうだったのかもしれないが、 今となっては
ほがらかとは、恐らくは、 悲しいときにも やわらかく微笑んでいられることでせう? 悲しみの中を上手に流れていけることでせう?
心底まで藻を掻ききったら あとは移ろいながら笑うしかないでせう?
W 砂糖とミルクは要らない
そうして、また波の音が聞こえるあたりに、
あの空のどこかに『置いて』きてしまったとしても、
それは、
それはそうなのだ
そうなのだ。
そう、だから僕らは珈琲を飲むのだ。
X 灯
形を与えてやらねば留まれない
1つの揺らめきが途絶える前に
また新しい揺らめきを灯さねば
シトシト暗い中では留まれない
僕は留まれない
我儘な僕は留まれない
だから形を与えようと思う
Y ヒソヒソ話
かくもひそひそと営まれるものが他にあろうか
起きて叫んで石の下
蝉時雨の静けさよ
ひそひそ話せよ
ひそひそと話せよ
ひそひそ泣かぬ蝉はついぞ見たことがない
Z その直前に
直前の心持ちについて小汚いCafeの中央線の折り返したところで3人と1匹で話したところ、確かなことは何もなかったが「もう大丈夫。」なのだそうだよ。 本人が大丈夫というのだから、大丈夫なのだろうねぇ、きっと。 イッキュウはそんな話には鼻もくれず、小汚いスヌーピーの黒いのにクゥゥウンとしていたのだった。 それはやはりそうなのだった。 俺だってイッキュウの耳がピピピと動く感触のほうが気になったさ。 そうこうして一番驚いたのは、イッキュウがメスだつたつていうことさ。 とにかくのところ「大丈夫。」なのだそうだ。 が、それも徒だ。
[ その直後に・・・
その後のことは、その後考えられたら考えよう ね。
今は今のこと。 ね。
昨日のことはちゃんと昨日考えておけばよかったなんかは思いたくはない。 からね。
\ しじま
「生きる」が深まれば、
悲しみが深まる。
「悲しみ」が深まれば、
見えてくるものがある。
しじまに呼びかければ こだまし、
また深まるのは、やはりしじま。
夜はさらさらと音をたてて流れていくのでありました。
] ありとあらゆる無知
知りえたこと
知りえなかったこと
それらを無知と呼ばずには、もはやいられない。
僕は今その無知を燃やし尽くして
残った僅かな灰さえも無知と呼ばずには、もはやいられない。
この微笑も
この寒さも
恐れも
望みも!
数々の線が無知の上を這いずり、嗚咽の後にしじまの中に消えようとも!
総ては恍として立ち続けるのみ・・・
やがては雲ひとつない蒼
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