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2005/05/12(木)
本の人
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知っている中では日本で最大級のビブリオマニア・荒俣宏氏の本を読み終えました。
短編小説集で、ストイックな意味での「本」としての魅力は無いモノなのでしょう。 文庫だし。
僕が知識に興味ないとうそぶくのは、ある意味の戒めで、 それは割と程度の低い知識人からその知識の放出に伴い自意識の悪臭がする事があるので それを嫌っての事なのです。
つまり、何か表現したい事がある上でその知識が必要であり、それを得て消化し そしてあくまでも一種の「体験」としてその人の中に蓄積されたような物であれば それは本当に、尊敬に値する宝だと思います。 例えば、あるサイトの管理人の方が、あるオハナシの中で、 「違う星の人」という事を表現したいが為にフランス語を勉強したという話をされていました。 そういうものが、本当の知識なのだと僕は思うのです。
京極夏彦氏が京極堂シリーズのある話の中で、 主人公・京極堂に「本当の知識人というのは、あの人の様な人の事を言うのだ」 と、語らせるある学者がいるのですが、 恐らくそれは荒俣宏氏をモデルにしたイメージの人物なのだと思います。
それほどに氏の知識量には底が見えず、自意識の悪臭も感じず、その知識を織り交ぜた 楽しいフィクションとしての嘘もあり、小説としてとても良い物でした。
南方熊楠とシャーロック・ホームズの探偵対決なんかどうやったら思いつくのかと感心します。
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