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2005/05/30(月)
リョウリニンのハナシ
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味がある、というのは良いですな。
この日、ある和食屋を営んでいた料理人さんの御宅に仕事の関係で行って来ました。 小高い丘のような地形の住宅地にあり、見晴らしは結構よろしい。 仕事の合間に、ぼつりと「昔は六甲山まで見えたんやけどなぁ」とつぶやく。
入り口とその大きな窓を開けると風が吹きぬけ、とても涼しい。
「この家を買ったときはクーラーなんかついてなくて、それでもこうしてたら十分涼しかったんや」
窓の向こうに見えるのは電気街の大きな看板。 悪い事なんて何も無いけど、その窓から六甲山も見てみたかったかも、とも思う。
その方は、もうけっこうなお年で、だいぶ前にたまたま外で自転車に乗っているのを見かけたとき、 パッと見でその方とは気づかない事がありました。 普段は割りとただのおじいちゃん。
でも、板場に入ると雰囲気が少し違う。 とても鋭いような。
その方は料理するにしても素材を特に重要視する方で、その方面の話でも本を数冊出すくらいの博識ぶりです。 それは知識として追い求めたのではなく、経験で・・・というのはまた別の話ですね。 とにかく、仕事の合間に料理の素材に関しての語りがとても面白い。 内容なんかすぐ忘れるし、それはそれでいいと思っているのですが、ただあの語りの味がなんともいえない。
途切れ途切れ、ではないのだけど、呼吸を感じる口調というのでしょうか。 語りの流れの中に見せる鋭い視線やはにかみの柔らかい表情と、顔を見ていても飽きない。
本当に、味がある、というのは良いですな。
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