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2005/06/18(土)
スノードーム
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本を一冊読み終えました。
アレックス・シアラー氏「スノードーム」 原題は「闇の速度」というそうです。
光の減速器と言うものの研究に明け暮れる変わり者の科学者が、 彼が大切にしていたドーム状のガラスに覆われた街のミニチュアと共に失踪します。 そのドームは本来ならば中に液体が入っていて、振るとそのドームの中に雪のように液中の粉が舞い上がり、 時間をかけて雪が舞い降りるように落ちていくもの。 でもそのドームには粉はおろか液体さえも入っていませんでした。 そして、その科学者が勤めていた研究所の同僚が見つけた書類の中に、同僚宛の手紙が入っていました。 そこに綴られたドームにまつわる物語は・・・。
と言う感じですが、見直してみたらコレ筋も何も説明していないような・・・。 まぁいいか。
シアラー氏の小説は3,4作読みましたが、その中で言えば少し好みからは外れているかもしれません。 氏のこれまでの小説は、少し暗い題材にしてもあまり陰鬱には描かれておらず、 死に際してもある種のポジティブさがあったような気がします。
今作はどちらかというと、ネガティブな人間の心の動きを、抽出しすぎることなく 迷いや矛盾を理屈に分解しすぎずに描いている感じがしました。 それゆえ全体としての重みみたいなものは薄れているのかもしれませんが、 それでも「主人公(その科学者ではない)」の心の動きが身体性と共に 克明に描かれているクライマックスシーンは結構読まされました。 読後感として、面白かった!と言うものでは無いのですが、なかなかイイカンジでした。
氏の小説で一番好きなのは、本屋さんでも平積みされてたりもする「チョコレートアンダーグラウンド」 この本は、装丁からかなりのハイセンスで内容も子供が主人公ナためにかわいくもあり、 しかしながら自分の意識が、その物語の中で語られている事の、近代人の普遍的な問題(オオゲサかも)まで いつのまにやら持って行かれているストーリーテリングはカナリ楽しめます。 分厚めの本ですが、確か値段も安かったので手に入りやすい一冊だと思います。 長靴下のピッピやモモが好きなら、それよりももっとオテガルに楽しめる子供の物語としてお勧めです。
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