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2005/06/29(水)
ICO
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本を一冊読み終えました。
宮部みゆき「ICO」 PS2の同名のゲームを三年間の構想を経ての小説化だそうです。
13才になると霧の城へのイケニエに捧げられる事が決まっている 角の生えた少年ICO(イコ)。 彼が、ニエとして城に連れて行かれ、そこで出会った不思議な光を湛える少女の手を引き 脱出を試みるその道程で知る事となる城の秘密。 歴史という永い時間の中で、積み重ねられてきた感情から少年は何を見るのか。
話として感情もよく描かれていると思うし、その変化の流れも面白いと思いました。 ゲームはゲームとても面白いのですが、文字によって浮かび上がるそれらの感情の変化は、 僕自身が現実に味わうことはないもので、 こういう風に本のなかで世界が描かれ、それを想像しつつ感情移入しつつ、 そのなかで、著者によって連れて行かれた先に感じるものがあって、それが例えイミテーションだったとしても、 モノガタリを読むということの面白さはそこにあるのだなと思いました。 ゲームの小説化というものには余り興味が無いのですが、 小説は小説としてゲームの中では想像できなかった部分が感じられたのは、 やはり宮部みゆき女史の力なのでしょう。
ところで、このゲームは古い石造りのお城の中をふわっと光る少女の手を引いて、 魔物から守りつつ脱出するというゲームで、 ゲームシステム的にはバイオハザードに近いものがあります。 パラメーター等は一切排除し、できるだけ簡略化されたシステムはゲーム全体の「質感」を損なうことなく、 とてもいいバランスだったとおもいます。
このゲームは、光がとても上手に表現されていて、お城の各所でとても印象的な絵柄になることがあります。 そういう時はゲームの手を休めてじっと見入ってしまいます。 ストーリーを追わなくてもそこにモノガタリを感じるような、そんなイマジネーションをかきたてられる 「見る」事が好きな人なら、間違いなく心の琴線が振るわされると思います。
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