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2005/07/11(月)
タワゴト
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ゆっくり、ゆっくりと頭の中を探ります
左手でノイズのような記憶をかき分け、右手で探る
そんな風に、つまり、泳ぐように前へ前へと行くと
つと、通路に出た
頭上にはユラユラと揺れる仄かな光源がある
どういった光源なのか
そちらを見ようとしても僕はなかなか言う事を聞いてくれない
仕方が無いので通路を奥の方へ歩く
それに少し遅れて光源も憑いてくるようだ
一歩ごとに視界がぐにゃぐにゃと動く
随分奥に赤い扉があった
通路はまだ続いているようだ
僕は開けたくも無いのに、僕は扉に手をかけた
扉を開け放つと、甘い腐臭がした
そこには小さな部屋があり、真ん中に机と花瓶があった
天井には電球が一つ
視界の端で光る明るい電球がフレアーを起こして眩しい
花瓶に一輪の花が枯れて腐っていた
僕もさすがに不快に思ったらしく
これ以上見たくないと言う風に開けた扉のすぐ横の電球のスイッチを
切った
途端に、部屋は信じられないくらいの暗闇になり
思わず僕はその中へ落ちそうになった
こんなときにもし重力の反転が起こっては大変だと思い
僕は荒々しく扉を
閉めた
どこかで何かが
こぼれる
音が
した
暗転
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