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2007/01/04(木)
ありがとうのきもち。
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「はい三原さん」 「へ?」 唐突に智裕が差し出したのは、小さな長方形の袋。ほらアレだ。お年玉が入ってるくらいのヤツだ。 受け取ってまじまじと見れば、やっぱりでっかく「お年玉」と描いてある。「書いて」じゃなくて、「描いて」という方がしっくりする感じの、しゃれたレタリングだ。 「……この袋、手作りか?」 昨今はパソコンなんつーものがあるから、手製でもやりようによっちゃ、市販のものと大差ないのができる。下手すると味気なくなっちまうが、これは綺麗にカッティングされた白い紙や、袋の地色であるブラウンに合わせて、少し渋めの臙脂の紙なんかでデコレーションされていて、市販ではありえない凝ったできになっている。 感心して眺めていると、智裕は少し得意そうに、 「一応、『一富士二鷹三茄子』なんだけど。分かった?」 と小首をかしげる。 「ああ、確かに」 ただし、ナスは少しアレンジされていて、猪に見える。 「つーか、お年玉って……」 中身はなんだろうと、きっちり封をされている袋を開けようとすると、 「あ、だめ!」 「はあ? なんだよ」 智裕が慌てて止めに入った。 「これは、今あけちゃダメ」 するりとオレの手から、お年玉の袋を取り上げて、眉を顰める。 「って、でも、それオレんだろ?」 しかもお年玉なんだろ? 何であけちゃダメなんだ? 分からないことだらけで頭をひねると、智裕はコホンと技とらしく咳払いをした。 「でも、ダメなの。これは、ここぞ、っていうときに、開けるの」 「ここぞってときにか?」 「そう」 余計わかんねえよ。 不満が顔に出たのか、それとも智裕が帰ったらこっそりあけてやろうと思ったのがばれたのか、智裕は難しい顔をして俺をねめつけた。 「むやみにあけようとしたらダメだからね。そんなことしたら、僕三原さんとお別れしちゃうから」 「はあ?」 なんだそりゃ。 あんまりな脅しに口をぽかんと開けてしまう。だけど智裕は結構真剣で。 「約束だからね?」 念押ししてくる顔がやけに可愛いもんだから、オレも思わず苦笑して、 「ああ、分かった」 なんて頷いちまう。 「お前と別れんのはやだからな。ここぞって時になるまで、このまま大事にとっとくよ」 そう言って手を差し出すと、智裕はほっとした顔でそっとオレにお年玉の袋を返してきた。 「三原さん大好き」 はにかんだ顔でそんなことを言う智裕がやけに可愛くて、お年玉はいいからキスしてえな、なんて思った。
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新春バカップルー。 やっぱ楽しいなあこの二人は!!!!!
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