|
2005/10/19(水)
ボツ原稿(その1)
|
|
|
原稿終わるまでオイラのアタマはオリジナル一色でありますよっ!(「一色」ってなんか...だねえ) そんなわけで(どんなわけだ)ボツ原稿さらします(爆)。 今書いてるやつのこねくりまわしてたヤツ。
設定変わって付き合ってないことになっちゃったですYO!
あ〜あ。(でも1回やっちゃってる。。ええしっかり!←前の話で書いちゃったからっ)
さあ「オーラの泉」だっ! たいち〜vv
----------------------------------
その時の情景は、今でも南戸直希の気持ちの片隅に消えずに残っていた。 生物室から見える空は、透明な朱色に染まっていた。その朱色に伝染したように、教室の中も、灰色と朱色の陰影だけで染まっていた。電気はついていなかった。つけづに時間が経ってしまったのかもしれないし、あえてつけなかったのかもしれない。それは忘れてしまった。 教室のものとは明らかに違う、薬品とも何ともつかない酸っぱい匂いが微かにしていた。 直希は、黙ったまま夕日をじっと見ている尼子馨の横顔を、じっと見ていた。 胸の痛みも覚えている。――今は故意に閉じ込めてしまっているけれど。 予感はあった。 初めからうまくいかないことは分かっていた。 だから、直希は「そうだな」と笑って言うことができた。 教卓に凭れて、自分に向き直る尼子の顔を、直希は見つめていた。頭一つ背の高い同級生の顔を、こんなにじっと見つめることができるのも、これが最後だと思いながら。 脱色した長めの髪が、さらりと揺れた。その髪が好きだった。 切れ長の目も。すこしごつごつした、けれど存外優しい指も。冷たそうに見えて、実は暖かい、薄い唇を。抱きしめられた時、微かに鼻梁をくすぐる柑橘系の香りも、全て覚えていようと思った。 「……て言っても、別に何も変わらないけどな」 くるくると良く動く目を、笑顔に細めて、直希は軽く言った。「え」と僅かに目を見開く、予想通りの尼子の反応に、直希は一歩近づいた。 「だって、これからもトモダチでしょーが」 な? と念押しのように顔を覗き込むと、尼子はほっとしたように笑ってくれた。 「そうだな」 少し掠れたトーンの声で、尼子がうなずいた。 直希は、少し前に尼子が言った言葉を自分の中で書き換えた。 ――そろそろ、やめないか? やめるのではない。戻るのだ。 もう、甘い意図を含んだ指先や、そっと抱き止められた胸から聞こえる心臓の音に、身を硬くする必要がなくなるのだ。そして、タイプの女子の話や他愛もない話題で盛り上がる、気の置けない関係に戻るだけだ。 だから悲しくも辛くもない。
尼子の後ろに、窓が見えた。 窓の外は、いつの間にか藍色に空が滲んでいた。 汚いのか綺麗なのか分からない空だったことを、直希は覚えている。そらにチラと光った小さな星のことも。 まだ、忘れられずにいるのだ。
|
|
|