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2006/11/28(火)
ぎゅ。
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「ぎゅ。」 いきなりジェイドが背中から抱きついてきた。 「……なんだ一体?」 プラチナは執務中だった。「サインが歪んでしまった」 書類の右下、サインの最後がよれよれと力なく揺れていて、プラチナは眉を顰めて口をへの字にした。 「いいじゃないですか。プラチナ様らしい形ですよそのサイン」 「原因のお前が言うな」 しゃあしゃあと言うジェイドを、プラチナは睨み付けたいが、後ろから抱きすくめられて動くに動けない。 「ほらここ。この最後の伸ばすところが特に」 そして手を伸ばしてきて、サインの後ろの方を指差す。 「プラチナ様のリボンが、風になびいてるみたいに見える」 ね? と顔を覗きこまれ、プラチナはちょっとドキドキした。 「おや、照れてるんですか? 顔赤いですよ」 「ば……! ――阿呆」 口で叶う相手ではない。 プラチナはこれ以上墓穴を掘る前に、口をつぐむことにした。
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