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2007/04/26(木)
ふと気づく(追記)
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友達と飲みに行った帰り、ふと思いついて、僕は三原さんの携帯に電話をしてみた。 何度かコールの後、プツリと通話が繋がる――と思ったら、機械的な女性の音声が流れた。 『只今電話に出られません。発信音の後にお名前、ご用件を――』 特に、用事があるわけじゃなかった。 今日は友達と飲むから、約束してたわけじゃない。そのことを三原さんも知ってるし、バイト上がりにだって、「飲み過ぎんなよ」なんて言われたくらいだ(そして僕は、「誰かさんと違ってザルだから心配にはおよびません」なんて、言い返したんだ)。 だから、電話したのはただの思いつき。 なのに、三原さんが電話に出ないことが無性に寂しくて、三原さんが僕の電話に気づかないことがむやみに悔しくて、胸のところがチクチクと痛くなって、思わず唇をかみ締めてしまった。
まだ仕事中かもしれない。 そう思って、店によってみたけれど、店はもう真っ暗で、明日の仕込みがとうに終わって(つまりはもう、三原さんは帰宅したってことだ)いることが分かった。 僕は仕方なく、そのままとぼとぼと、駅までの道を引き返した。 改札口を通って、ホームに下りる。さっきまでは全然気づかなかったのに、やけに風が強くて、頬にピリピリと寒い空気が突き刺さる。指先も凍えるように寒い。 閑散としたホームの電光掲示板が、次の電車の行き先と到着時間を映し出している。もうそろそろ来る頃だ。 『まもなく、○○行きの電車が、参ります――』 機械的で単調なアナウンスが流れて、踏み切りの音が聞こえてきた。 見れば暗闇の向こうに、電車のライトの明かりが見えてくる。僕がふと、息を吐いたその時、ポケットで電話が振動した。 誰かと液晶画面を見れば、 「――み、はらさん?」 僕は慌てて通話ボタンを押す。 『智裕?』 「うん。僕」 『ごめんな、電話くれてたんだな。気がつかなくて』 「うん。別に、大丈夫だよ」 ホームに電車が到着する。今度は駅員が電車の到着をアナウンスする。窓から煌々と明かりが漏れている電車が、スムーズに目の前に流れ込んできた。 『飲み会はどうだった? 今、どこだ?』 「え? ああ、楽しかったよ。今は駅に付いたところ」 プシュー、という音とともに、ドアが開き、ドヤドヤと乗客が降り立つ。 『そっか。これから、帰りか』 「うん」 乗客が全て降りて、もう僕も、乗らなくちゃいけない。 『そっか。……気をつけて帰れよ』 でも――。 でも、受話器を通って聞こえる三原さんの声が、少し落胆しているように聞こえるのは、僕の聞き間違いだろうか。 あとは「うん。おやすみ」と答えればいいだけだと分かりながら、僕は何度も唇を舐めた。思わず電話を握りなおす。 「三原さん、あのさ」 『ん? なんだ?』 アナウンスが、「ドアが閉まります、ご注意ください」と告げる。少し離れたところでは、駅員が安全確認を終えた合図をしている。 ピー、という笛が鳴って、ドアが、僕の目の前で閉まった。 「ねえ、今から三原さんち行ってもいい?」 急に会いたくなっちゃった。 軽くねだってみると、受話器越し、少し笑いを含んだ声が、『仕方ねえな』と答えた。 電車がゆっくりと動き出す。 「仕方ないってなに? だったら僕、自分ちに帰るけど?」 わざと拗ねた声で言うと、『あー』と、ばつの悪そうな声が聞こえる。 『そうじゃないって。あー……と。もし大丈夫なら、こっちこいよ。つーか、来い』 少し照れくさそうに、ぶっきらぼうな三原さんの声に、僕がほっと息を緩ませたのは、きっと三原さんには伝わってない、はず。 「じゃあ、行ってあげる」 僕はわざと仕方なさそうに告げると、『はいはい。待ってるよ』と三原さんが答えた。声が甘ったれてしまったのは、ばれちゃったかもしれない。 電車は既に僕の前をすべり抜けていて、電光掲示板がまた新しい電車の情報を写していた。 僕は携帯電話を切って、さっきくぐった改札口に向かって歩き出した。 ------------------------------------------ 昨日は、ネタを何とか書いて、それだけで力尽きてしまいました^^; ネタ日記なのにここ全然ネタかいてないなー、てゆーか、全く楽しい更新すらないなー、と思ってひねってみたら、案外形になるものですね。 そろそろ本腰入れて、ただの字の羅列ではなく小説を書くことにしようと思います。その前に絵を...絵を仕上げなければなりませんが。
25日は久々の鑑定大会でした。友人が営業してくれて、お友達5人の鑑定をさせて頂きました。8時間ぶっ続けで占師モードでいたのですが、こういうのって修行してるとき以外、めったにないことなので、色々とお勉強になりました。 29日は本当にお仕事で、イベントに参加しています。久々鑑定士でのイベント参加(半年振りかな)。それほど日にちがあいてないから、よいタイミングかな。
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