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2019/03/12(火) 空気入れ
           深夜の夢

 深夜は家が軋むらしい。
眠りに入るきっかけを失いぼんやりと起きたままでいる。すると雨なんかが降って来て、雨粒の音ひとつひとつを数えていると雨脚はとめどなく続いて、いつか雨音は夜の闇に吸い込まれて行って音を拾い出す事も出来なくなってしまう。
 誰かが遠くの方で寝息を立てている気配を感じる。するとそんな深夜に家が軋む。真夜中の沈黙を唐突に破って、鉄筋コンクリートの箱の様な家の中の、木の部分が軋む。
いつしか毎晩その音を待ち受けるようになり、今か、今かと息を殺してじっと待っている。その緊張感が、いつの間にか弛緩して意識が彼方に彷徨う瞬間に、軋むのだ。
その時に漸く、待っていた事に気づく。コンクリートで固められた箱の中で木の魂がせめぎ合っている。それを悲鳴と捉えるのは、私の心が共鳴しているからなのか、それとも悲鳴をあげたい私がいるのだろう。家の軋みが空気を震わせ、その振動が私の鼓動に繋がって来ると、眠れない。このままでは眠れない、このままでは一日を終える事は出来はしないと思いながら、不眠の夜が続いて行くのだ。
 不眠の真夜中に、私は椅子に座って雑然と散らかった部屋の中を見回して、吸えないタバコを吹かしてみたり、出鱈目な鼻歌を唄ってみたりする。詭弁を呈するための証明もその中で考えついた。
 一日を充分に怠けるために早起きをする極意だ。私はとても働き者なのだ。夜も寝ないで何かを考えているのだからと自分を正当化し、一人で笑ってしまう。
 そして又、夜の闇に投げ込まれて家が軋んで、闇の中で不安を感じるのだ。浮いているのか沈んでいるのか、夢の中で夢を見ているという不確実感に覆われ、現実と夢との境界が分からなくなり、それもこれも、現実の酷薄さを隠蔽しようとするためなのだろうか。
                   (了)


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