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2019/05/26(日) 工事中
          化物思想 3

インドから西へ行くと、ペルシャが非常に盛んである。ペルシャには例の有名なルステムの化物退治の神話があり、アラビヤには例の有名なアラビアンナイトがある。エジプトもそうである。洋々たるナイル河、荒漠たるサハラ沙漠、これらは大いに化物思想の発達を促した。
 エジプトの神樣には化物が沢山ある。併しこれがギリシャへ行くとかなり異なり、かえって日本と似て来る。これ山川風土気候等、地理的関係の然らしめる所であり、凡てのものは小こじんまりとしており、したがって化物も皆小規模である。ギリシャの神は皆人間で僅かにお化けはあるが、怖くないお化けである。それは深刻なインドの化物とは較べものにならない。
例えば、ケンタウルと言う悪神は下半身は馬で、上半身は人間である。又ギカントスは両脚が蛇で上半身は人間、サチルスは両脚は羊で上半身が人間である。凡そ真の化物と言うものは、何処の部分を切離しても、一種異様な形相で、全体としては渾然一種の纏った形を成したもので無ければならない。つまりはギリシャの化物の多くはかくの如く継ぎ合わせ物である。
故に真の化物と言う事は出来ない。
 しかし北ヨーロッパの方面はどうかと言うと、この方面に就いては私は余り多くを知らないが、要するに幼稚極まりないものであり、規模が極めて小さい様である。つまりヨーロッパの化物は、多くは東洋思想の感化を受けたものであるかと思われる。以上述べて来た所を総括して、化物思想はどう言う所に最も多く発達して来たかと考えて見て、化物の本場は熱帯で無ければならない事が分る。熱帯地方の自然界の厳しさから察するに、生活が深刻な熱帯で信仰を重んずるに於いて、化物思想が発達したものと言える。
例え熱帯でなくとも多神教国には化物が発達した。
例えば西蔵チベットの如き、そのラマ教は非常に妖怪的宗教である。その様にしてインド、アラビア、東は日本まで、西はヨーロッパまでの化物を総括して見ると、化物の策源地はアジアの南方である事が分るのである。
 尚、化物に必要な条件は、それぞれの国の文化程度と非常に密接な関係を有する事になる。化物を想像する事とは、理は理にあらずして情である。
理に走ると化物思想は発達しない。例え化物が出ても、それは理性的な無味乾燥ものであり、情的な余韻を含んでいない。従って少しも面白味が無い。
故に文明が発達して来ると、自ずと、自然に化物は無くなって来る。文明が発達して来ると、何処か漠然として稚気を帶びて来て、面白い化物思想などを受け入れる余地が無くなって来てしまう。
            (続)


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