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2018/12/03(月) マチネーあり
        マチネーあり

 今日から君も大人さ。
「サンデー・タイムズ」を小脇にはさみながら、独りスタイルをつくり、歩き出す。
 ユマニストのチャールストン、風が吹く。
 最終バスに乗って知らない街へやってきた。
終点で降りたのは運転手とわたし。スマートフォンで音楽を聴きながら知らない街の暗い舗道を歩く。街灯がないので怖い。人も誰ひとり通らない。静かだ。三叉路の交差点にさしかかった時、黄色いワンピースの女が走っていく、わたしには目もくれず。角のビルの窓にだけ灯りが点いてキラキラと光っている。わたしは羽虫のようにそのビルへと吸い込まれて行く。
自動ドアが開いた途端に思い出した。「そうだ、確か2階にジャズ喫茶があつたはずだ。わたしはスマートフォンで聴くのを止め、2階へ上がって行く。
まだ27才なのに渋谷で路上を見つめて暮らし、子供の時分から友だちなんてひとりもいないし、ツムジが少し曲がっちゃっていたのだ。
 小銭をせっせと貯め、グリニッジ・ビレッジで商売をしている兄のもとへ転がり込み、やりたい放題、ゴールを見つけてやろうか?
いろんなものを吸収し過ぎてブクブクに太っちゃた兄。しかし決して弱音は吐かない。黒人の大男に両足首をつかまれまるで時計の振り子のようにブランブランにされても、商売替えをしなかった。
兄はその時言った。
「俺の商売はインテリが相手だからな。」
最近のアメリカで金正恩を知らない者はインテリではない。
「お天気は下り坂だよう!」子供が街の隅っこで叫んでる。
子供の手をひいて駐車場まで行くのは案外楽しい。はやくはやく、暖かい!
地上の茎が受賞して行き、お天気はくだり坂、劇場のピアノの中はホコリでいっぱい。
リズム・リズム・暖かい!
(セーラー服が好きだなんて序の口だな)
 いつか、ノートに書いた台詞だ。深夜、暗い部屋でノートを広げ、髭をさすりさすり映画の広告を見て書いたものだ。
明日あの広告を剥がしに行こう。
「電燈も消さずにどこ行ってたのー」女に言われた。
「昼飯を買いにさ」
「こんなお天気の日にわざわざ」
「わざわざは余計だ」
俺の弁当開けるなよ、底から俺は食うんだ。
風が強くなって来た。
「雨は嫌い」と言った女。
「俺も雨が嫌いだ」と、風に手を当てながら言った俺。
あいつ・・・・・・雨の中、小劇場の前で待つだろうか。
                    (了)


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