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2008/12/26(金)
遅れましてメリクリ
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賢犬の贈り物 前編
俺の右には青いリボンがかかった四角い包み。左には赤いリボンがかかった四角い包み。左右それぞれプレゼントに 挟まれて俺は深ーいため息を吐いた。 くぅー。困ったなぁ。
町中がだんだん華やかになっていくのと反対に空気はどんどん冷えていく。リボンに飾られたモミの木、キラキラ光る電飾が俺にクリスマスが来た事を教えてくれた。 「なぁ相棒、どっちがいいと思う?大佐へのクリスマスプレゼント」 大佐は今せんとらるに出張中だ。今年は一緒の休暇は取れなかったけどイブの夜は皆で過ごせるらしい。で俺はあいつの所に居候中だ。そして今散歩の途中なんだけれど 「やっぱりこの特殊素材のクッションかなぁ。なんか中に特別なウレタンが使ってあって、疲れにくい構造だっていうんだ。なんでも人間工学に基づいて作られたとかなんとか・・だから大佐がソファーで本を読む時きっと役に立つと思うんだけど」 わん!だから俺もそれが良いってさっきから言ってるじゃん。 「そーか、お前も賛成か。でもちょっとクリスマスプレゼントにしてはロマンが欠けてると言うか実用的過ぎると言うか・・」 わぅー。あーあ。またこれだ。さっきからずっとこいつは店の前で悩んでいる。いい加減にしろと言ったって聞きやしない。 そりゃ大事な大佐へのプレゼントだ。悩むのはわかるけどね。1時間近くうろうろするのはどうかと思うぞ。 「うーむ、迷うなー」 うわん!いい加減決めろよ!男は決断力だって! 「うぉ、判った、判ったよ、相棒。んじゃここでちょっと待っててくれよ」 俺の一喝が効いたのか、あいつは慌てて店に駆け込んだ。どうやらプレゼントはとくべつそざいのクッションとやらにしたらしい。
その翌日あいつは司令部に俺は大佐の家に戻った。だって大佐は今夜帰ってくるし、俺がちゃんとおかえりなさいって出迎えしないと寂しがるだろう? 犬用ドアから誰もいない家に入る。居間にはもうすっかり飾り付けが終わったクリスマスツリーがしんとした空気の中で俺を迎えた。ツリー天辺には俺が去年あげた松ぼっくり(元は星のかけら)が誇らしげに置かれている。 早く大佐帰って来ないかなぁ。 ごろんと自分の寝床にダイブすると俺はそれだけ思いながら目を閉じた。
「ただいま、ジェイ。元気にしていたかい」 わんわん!おっかえりなさーい。もちろん元気だったよ。でも寂しかったー。 大佐が帰って来たのはもう夕方だった。旅行鞄と一緒に幾つか大きな包みを抱えて来たところを見ると駅から真直ぐこっちに来たらしい。 「寂しかったか?私もお前に会えなくて寂しかったよ」 わしゃわしゃと撫でてくれる手が気持ち良い。こうしてる時が俺は一番幸せ。だ。 「セントラルもクリスマスでにぎわっていてね。イルミネーションがきれいだった。買い物しながらあちこち見て回ったよ。ああこれはクリスマスプレゼントだから開けるのは明日の晩だよ。こっちの青いリボンがジェイので赤いリボンがハボックの」 そう言いながら大佐は幾つかの包みをツリーの下に置く。だけどリボンのない包みがまだ1個残っていて 「これはついでに自分用に買ったんだ。なんでも特殊素材でずっと横になってても疲れないらしい」 わぅ?あれ、それどっかで聞いた話・・ そうして包みから取り出された物はどう見たってあいつが買ったのと同じクッション。少し真ん中が凹んでいるから 間違いない。・・・って事は。 大変だあいつのプレゼントと同じ物大佐買って来ちゃったんだ!
どうしよう、どうしよう、どうしよう。その晩俺は居間でツリーを見上げながら必死に考えた。だってあいつだけじゃないんだ。 大佐のプレゼントも重なってる事が判ったんだ。 「内緒だけどハボックのはカシミヤのマフラーなんだ。きれいな色でね。やっぱりセントラルには良い品がそろっている」 ってこっそり大佐は教えてくれたけど・・ 実はあいつの家に居候してた時宅急便が送られてきて、その中に手編みのマフラーが入ってたの俺しっかり見たもの。 それは田舎のお母さんからのプレゼントだったらしくあいつが喜んでいたの知ってる。 だから─2人のプレゼントはすっかり的が外れたわけで、クリスマスにそれは不味いんじゃないだろうか。 そりゃ恋人同志なんだから別に喧嘩にはならないだろうけどさ。あいつはどうでも良いけど大佐ががっかりするのはヤだなぁ。 あいつの喜ぶ顔大佐はきっと楽しみにしてる。
うん。ここは俺が何とかすべきじゃないだろうか、忠犬として!(でもどうやって?誰か教えてくれよ〜)
遅れましてメリークリスマス。です。おまけに終わりませんでした〜。すいません! 続きは多分月曜日アップという事ですがここは1つ皆様のお知恵を拝借できませんか?さてジェイはどうやってこの問題を解決したら良いでしょう?突発的ですがお答え募集中。で萌え心にピンときたら採用させていただくというのはいかがでしょうか。いや決してオチを考えてないって訳じゃありせんよ・・・(汗)
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