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2010/02/14(日)
ぎりぎりセーフ
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一応14日中にアップしときたかったバレンタインSS。そういえばバレンタインネタはこれがお初?ちょっとビターになってしまいましたがどうぞ。 拍手お返事とか雑誌の感想は後で書きますー。
JACKPOT
「はい、どうぞ大佐」 と差し出されたのは綺麗にラッピングされた小さな包み。微かに香る甘い匂いとピンクのハートの模様に一瞬胸が高鳴ったけど 「総務のメイベル伍長から頼まれました。ほんと人気がありますねぇ、大佐は」 皮肉気な苦笑に小さな希望はペシャリと潰れた。そうそんな奇跡起りっこないのに性懲りもなく期待してしまうとはなんて自分は諦めの悪い 「朝から5つ目ですよー。もう俺はチョコレートの配達人じゃないっスから」 「まぁそう嘆くな、ハボック少尉。これも有能で美形の上司を持った部下の定めだよ」 でもそんな胸の痛みももう慣れた。いつも通りに笑ってやればそーですかと頭を掻く男はそんな私の葛藤なんか想像もしないだろう。 「へいへい。知ってます?バレンタインのデートにあんたが誰を誘うか司令部内じゃ結構な噂になってるんス。彼女達はそれこそ宝くじに当たるくらいのラッキーだって言ってるそうです」 「まぁ今日のデートは日頃の感謝も込めて軍の女性と決めているからな。彼女達が気もそぞろになるのも無理はない。だがね、今年はちょっと無理だ」 ホラと机の書類の山を指せば途端に垂れた目が輝く。 「そうスか!そりゃ気の毒ですが、ヤロー共は喜びますよ!いつも女達はあんたを気にして今日のデートに中々いい返事くれないって毎年連中嘆いてますからね。今年は気にせず行けって言ってやれます」 そうして彼も誰かを誘うのだろうか。胸の大きくて柔らかい笑顔の可愛い女性を。 「そしてあえなく玉砕するのか?まぁ健闘を祈るがハボック少尉君は無理だ」 そう思ったら意識もしないで口が動いた。止める間なんかどこにもない。 「この仕事は明日の朝一提出だ。難しくはないが手間がかかるぜひとも君の力が必要なんだよ、少尉」 困った顔で見上げれば人のいい男が断れないと知っている自分はなんて性悪なんだろう。でも止めるつもりはなくて 「ひっでーな、もう。自分の不幸に他人を巻き込むなんて鬼ですか、あんたは」 嘆く男の頭をよしよしと撫でれば指に絡む金の髪。その感触に今更どうしようもない恋心を思い知る。 「まぁいいじゃないか。早く終わったらとっときのブランデーを飲ませる店に連れて行ってやる。残念だが今夜は私とデートだよ、ハボック」 サイテーなバレンタインだと喚く男は自分が宝くじを当てた事に気つきもしない。
片思い大佐結構ツボ。絶対気取られないようにでも密かに思い続けるとか。
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