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2011/12/18(日)
新刊情報
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冬コミ新刊は無事出ます〜あーよかった。間に合ったー結構ぎりぎりでしたから嬉しいです。という訳でまずはスペースのご案内 12月30日東地区Yー34b 新刊「CSI:EAST 5 WISH BONE」オフセット60p 600円です。 あとは既刊を2種できればペーパーかなんか作りたいですね。 お寒いでしょうがよろしければ遊びに来てやって下さいまし〜
「CSI:EAST 5 WISH BONE」プレ
隠された秘密をみつけてしまうのは子供と相場が決まっている。 彼らは無意識に感じ取るのだ密かに眠る真実に─暴かれたそれがどんな結果をもたらすかなんて考えもせずに。
「全く君たちはもう少し子供らしい事ができないのかね」 だから例えば郊外の廃屋に埋めてあった骨を掘り出す事なんか彼らにしてみれば珍しい事でも何でもない。 「余計なお世話だ、捜査官!俺らは市民の義務って奴を果たしただけだよ!」 「あの・・すいませんマスタングさん。僕もまさか本当に死体・・骨が埋まっているとは思わなかったんです」 発見者が若干17才の少年だという事をのぞけば。しかも多分プロでなければ気がつかないレベルの些細な変化から気づいたというからこれはこれでまれなケースといえよう。 「土壌圧縮か・・良く気がついたもんだなアルフォンス君」 苦笑しながらぽんぽんと金の頭をロイは叩く。十代の成長は早い。この前あった時からまた背が伸びたなと思いながらロイは険しい顔を緩めた。まさか本当に死体を見つけてしまうなど思ってなかったろう子供達の顔はショックで青ざめたままだ。 「詳しい話は後で聞くからハボック巡査に家に送ってもらいなさい。ああ靴痕だけはブレダに記録してもらってくれ」 「えーいいよ。もう雨上がったし、歩いて帰れる」 「父さんに連絡すれば迎えに来て貰えますから」 「遠慮するなよ、大将。お前達は警察に協力してくれたんだ。十分その権利はある。それに俺の車には温かいコーヒーとマフィンが常備されてるんだぜ」 下手なウィンクつきで提供された話に育ち盛りの胃が抗える訳もない。こくんと頷く2人の背を押しながらハボックにロイは 「すまないが頼む」 と少しだけ犯罪現場にふさわしくない声で言ってから3人を廃屋から送り出すと 「さて諸君、仕事にかかろうか」 ラテックスの手袋をはめた手で小さなスコップを手に取った。
中略
「はいちょっとごめんなさいよー」 いきなりモルグの扉が開いて見慣れぬ人物が現れた。 「骨があるのはここって聞いたけど間違いない?」 しっかりとしたハスキーボイス。袖無しの白衣のようなものを着た黒髪のドレッドヘアで一見してアラフォー世代と思われる女性だが目つきがやけに鋭い。そのせいか突然の侵入者を咎める声が遅れて 「ああ、いきなりですまないね。あたしはイズミ・カーティス。形質人類学者で司法コンサルタントもやっている。知り合いのエルリック兄弟が骨を見つけたって騒ぐから経過を問い合わせたら鑑定を頼まれて・・・あんたが責任者のマスタング捜査官でいいんだろ?」 「あーはい・・そうです。ドクターカーティス」 立て板に水の勢いにあっけにとられたロイがそれだけ言うと 「やっだぁ、ドクターはいいわよ、イズミで十分!」 ばしっと勢いよく背中を叩かれてロイは思わず骨の乗った台に手をつく。そのはずみでころんと小さな白い固まりが転がった。
中略
「これは先日郊外の牧場跡で見つかった白骨死体の顔を復元した画像だ・・・何か私にいう事はないか、ヒューズ」 冷ややかに見つめる視線をまっすぐ受け止めたままヒューズは写真を手に撮ってじっくりと見つめる。そうして手で眼鏡を直すと 「ハンサムだが俺には負ける」 肩を竦めて重々しくそう応えた。 「けど若い身空で気の毒に。そうかこれが被害者なんだな。身元不明なら新聞に載せて情報募れよ。失踪人のデータバンクはもちろん照合してみたんだろ?該当者がいないって事は州外の可能性もある。イーストプレスみたいな地方紙じゃなく全国紙とかさ。それで他に何か判った事あるのか、ロイ」 立て板に水の勢いはいつもの事だ。だけど少しだけそこに焦りの色が滲んでいることに付き合いの長いロイは気づいていて 「貴重な意見をありがとう。今朝のイーストプレスに掲載されたから取りあえずそっちを期待するさ。それから現場からこれが出た」 引き出しから切り札の銀の指輪を出してゆっくりと目の前の男の前に突き出す。 「・・・・」 「この指輪、学生時代お前がクラスメイトからカードで巻き上げた奴だろう?趣味は良くないけど頭文字が一緒だからまあいいやとかいって結構気に入っていたよな。私もその場にいたんだから良く憶えている」 今度こそ黙りこくった男にロイは畳み掛けるように続ける。 「この指輪には血痕がついていた。検査したが被害者のものとは明らかに異なるDNAも検出できたんだ。状況からみてこれの持ち主が第一容疑者になる」 いつも饒舌な男はしかし何も言わない。 「今は犯罪歴のあるCODISしか検索してないがいずれは他のデータベースでも検索しなければならない・・例えばイーストシティ警察のデータベースとか」 そうしてさっき直したばかりの眼鏡の位置をまた指で直す。スクェアグラスの奥にどんな思いがあるのかロイには見えない。 「ヒューズ、DNAは嘘はつかない。それはお前が一番良く知ってるだろう?結果がでればもうどうしようもない」 一言の反論もなく背を向けた男に 「マース、いいのか!」 追いすがるようにロイは叫んだがヒューズは振り返らない。
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