日々是不穏
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2011/12/25(日) メリクリ 冬コミプレその2
メリークリスマスです。色々大変な1年でしたがどうか皆様に良い事がありますように。例年だとここにワンコSSがあるんですが、というより去年のがまだ完結してませんね(汗)えーちょっと突発的に別ジャンルのコピ本を作ってまして冬コミ修羅場は継続中です。ので代わりに冬コミ新刊プレその2を下に置いておきます。
冬コミはすいません開店11時とさせて頂きます。お目当ての狩りが一段落ついた所でお越し下さいませ。
ところで25日午前11時50分からWOWOWプライムでCSI:NY 7第一話が無料放送で見れるんですよ!やったー。

CSI:EAST 5 WISH BONE プレ


納屋かガレージかもう判らない程その小屋は古びていた。低い梁を支える柱は虫食いだらけだし壁はあちこちたわんでそこから雨と風が吹き込む。屋根も当然隙間だらけでだから自然2人は濡れないよう真ん中から少し右に寄ったあたりで身を寄せ合った。そこなら雨も風も届かず乾いた地面があったから。
「随分前にこのあたりに牧場があったろう?アル。多分その名残じゃないかなぁ、これ」
「牧場?うーん僕憶えてないや、けどホント何もないね。きっと長い間使われてなかったんだよ」
辺りをぐるりと見回してちょっと残念そうに少年は言った。雨はまだ当分止みそうもないし正直こんなところで足止めされると思ってなかったから退屈を紛らわす本も持ってない。おまけに携帯の電源は残り少ない。探検気分を味わえる様ながらくたでもあればいいと思ってもがらんとした小屋には木箱一つなかった。
「どーすっかなー、あいつに迎え呼ぶのも何か悔しいし・・」
未だ父親に素直になれない兄は携帯片手にぶつぶつ言っている。いい加減正直になればいいと思いながらぼんやり地面を見ていたところでピカッと稲妻の光が隙間から入って薄暗い中を一瞬明るくした。
「・・・あれ?」
「ん、アルどーした?」
静かになった弟が何をしてるかと視線を巡らせば弟は何故か腹這いになって地面を舐めるように見ている。そして立ち上がり今度は少し離れてやはり同じ一点をじーっと見つめた。小屋の右の壁近くあまり濡れてない地面のその辺りを。
「何だ、何だアル、なんか面白いもんでもあるのか?」
退屈しのぎになるなら歓迎と兄も同じあたりを見つめるが正直そこには何もない。ただ石ころと枯れかけた雑草があるばかりだ。
「うーん兄さん、最近僕推理小説とか良く読んでるんだけどさ」
「ああ、そういやそうだな。でそれがどうした」
「マスタングさん達を知り合ったせいか科学捜査とかそういうのつい読んじゃうんだよね」
「あの胡散臭いおっさんの事なんかどうでもいいじゃないか。それより一体その地面の何が気になるんだよー」
1年程前巻き込まれた殺人事件で彼ら─エドワードとアルフォンス・エルリックはこのイーストシティのCSI主任捜査官ロイ・マスタングと知り合った。その時抱いた印象がエドが『胡散臭いおっさん』でアルが『信頼できそうな大人』に分かれたのは多分2人の性格のせいだろう。事件そのものは無事解決し少々の傷みを彼ら2人に残したが健やかで強い心はそれさえも糧に成長したまにメールを送るぐらいの付き合いは残ったのだ。特にアルフォンスの方は科学捜査そのものに興味を抱きそれ関連の本を読む事が多くなった。だから気がついたのだ地面に残る楕円形の不自然なくぼみに。
「ほら兄さん、ここちょとくぼんでいるでしょう?それでふちがぐるりと盛り上がっているんだ。さっきまで気がつかなかったけど稲妻のせいで陰影がはっきりしたから判った・・・ほらここらへん」
「ああん?そー言われりゃそうみたいだけど」
促されてぐっと顔を地面に近づけて見れば確かにそこにはほぼ長楕円の浅いくぼみがあった。長さは大体1・2m幅は0・9mぐらいでくぼみの深さは5cmぐらいか。ぐるりと回ったふちが盛り上がった以外におかしな所は何もない。正直兄には弟が何でこんな地面のくぼみを気にするのかさっぱりだ。だから弟の次の言葉に
「もしかしたらこの下に死体が埋まってるかもしれない」
「・・は?」
間抜けた声しか聡明な兄は返せなかった。



「さっきから聞いてればらしくない。要はアレだ。あの白骨死体とあんた何か関係あるんですよね?でもそれは公にはできない。それをロイは知ってるからあんなに悩んでいるんだ。あんたを逮捕したくないし過去もばらしたくないから」
「友情に嫉妬するなよ、坊や」
「友情?そんなの只の甘えだ」
「何ぃ・・っつ」
がっと首筋を引っ掴まれてヒューズは声を詰まらせる。至近距離に見る青い瞳には冷たい光が宿ってその迫力にさっきは外せた腕にヒューズは触れる事もできない。
「嘘つくならつき通せ、周りに迷惑かけずに。何より捜査の公平性を大事にしてる人がどういう思いをしてるか判ってんだろ、あんた」
怒る男の迫力に気圧されたように返事は無い。いつも自信に溢れた男のそんな姿はどうにも見てられなくて
「自分のケツは自分で拭けよ、おっさん」
それだけ言うとハボックは手を離してさっさと自転車にまたがりその場を去ってしまった。後に残された酔っぱらいは手にしたビール瓶を力任せに路地の壁に叩き付ける。がちゃんと音をたてて割れたそれも壁に散ったビールの飛沫も立ち上がった男はもう見ていない。
「ワンコ風情に情けをかけられるようになったらおしまいだろうが、マース・ヒューズ」
さっきとは違う凶暴な笑みがその顔にあった。


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