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2011/02/22(火)
一週間遅れですが
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バレンタインSSなど投下します。片思いロイでどうぞ。 あと通販ですが2月18日までに入金して下さった方、2月21日に発送いたしました。
a piece of sweets
「よく降りますね」 年に一度の菓子屋の祭典。その日イーストシティは一面白い雪に覆われた。 「全くだこれでは道路も大混乱だしおかげでデートもキャンセルしなくてはならない。 とんだバレンタインになってしまったもんだ」 「もてる男は言う事が違いますねー。どうせ俺達は甘い祝福と無縁ですよ」 市内の状況を報告しに来た男の頬は最初真っ赤だった。それが暖かい室内の空気でゆっくりもとに 戻っていくのを黒い瞳はこっそり鑑賞しながらポットに入ったコーヒーを手渡す。珍しい事だと 内心感激しながら垂れ目の部下は黒髪の上司は雪景色を見ながら雑談に興じていた。 「ふん、そんな事言いながら受付の彼女からチョコを貰っていたのはどこの少尉かね?」 「あ、一体誰から聞いたんスかー。全く油断も隙もありゃしない」 「情報は時に武器となるだよ、ハボック。そんなに大事なら廊下に響く様な声で礼なぞ言わない事だ」 「あっちゃー」 できる大人の余裕の笑みに若造が太刀打ちできるはずもない。正直にまた赤くなった頬を誤摩化す様にごしごしこすると 「それじゃ、俺玄関の雪かき指揮して来ます!夕方までに何とかしないと大佐達の車出せませんからね」 コートを引っ掴んで出て行こうとする。それを 「コラ、駄犬。折角私が煎れたコーヒー残していく奴があるか」 大分湯気が少なくなったカップを持った手が止める。 ああすいませんとそれを受け取ってぐいっと一息に飲み干した男はちょっと怪訝な顔をして空になったカップを覗き込んだ。 「・・これブラックでしたよね,砂糖でも入れました?大佐」 舌にはさっきまでなかった甘さがほんの少しだけ残る。 「カロリーだよ、ハボック。寒さにはそれが何より必要だ。さ、頑張って来たまえ」 どうやら何か入れたらしい上司は悪戯っぽく笑って部下を送り出すと手の中に残っていた銀紙をゴミ箱に捨てて小さく呟いた。 「鈍感な犬だよ、全く・・」
カップの中にロイが入れたのは小さな1粒のチョコレート。コーヒーの苦みに溶け込んだそれにハボックが気付くのは何時だろう。
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