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2011/04/11(月)
満開
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近所の桜の名所に行って来ました。満開の花の下いつも通りシートひいて宴会してる人を見てちょっとホッとしました。誰もいなかったらやっぱり寂しいですよね。 鋼、映画の新しい予告編でましたね、でもオリキャラ一杯いるのに軍部の姿がない。(泣)軍部編もぜひ作って欲しいです。
恒例季節SSハボワンコ物この下にアップしました。
『待っていたよ。』
見上げればうす桃色の花びらが淡い光の中で舞っている。隣の金色の固まりを撫でながらロイは満足そうに頷いた。 「うん、私が待っていたのはこれなんだよ、ジェイ」 くー。そうだね、今年の冬は長かったね、大佐。 「ようやくお天気も安定しましたからね、やっと春本番ですよ」 昼下がりの公園、仕事に追われる国軍大佐はやっとできた休日にお気に入りの2匹の金色の大型犬と春の日差しを堪能していた。遠い東の国から来たと言う薄紅色の花の下遅い春の到着を彼らは全身で受け止めている。霞のような光に満ちた空気は柔らかく言葉もなくただその心地よさをそれぞれ感じていると、 わぅ?あれ大佐? さっきまで食べていたハボック特製お花見ランチが良い感じにこなれてきたのか、日頃の激務がきいたのかいつの間にか軍人2人は夢の国に行ってしまっている。大柄の男は守るようにその身を恋人に寄せて枕代わりの腕に黒い頭はことんと乗ったまま。正直人目についたらちょっとまずい状態だがここは公園の一番奥、ロイが見つけた秘密のスポット。 くー。あーしゅんみんはあかつきをおぼえず・・かなぁ。こいつまで一緒に寝るなんて弛んでる! 置いてけぼりを食らった犬はぺしと尻尾で同じ金色の頭をはたくが薄く開いた青い目はまたすぐに閉じてしまって わん。しょーがないなぁ。俺が2人まとめて『ごえい』してやるよ。 男前に頷いた犬は自分まで眠らないようごろんと寝そべっていた身を起こす。でも春の光の魔力はとても強力。 くわ〜ぁ。 大きなあくびが堪えきれず出て垂れた瞳の瞼がゆっくりと重力に逆らえなくなったところで 「こら、ワンコ。護衛が寝ちゃだめだぞ」 からかう様な声が頭上から降ってくる。 わわぁん!ち、違うって!俺はあくびしただけで寝てなんか・・ってヒューズ中佐? さっきまで確かに人の気配すらしなかった木の影。スクェアグラスの男が笑って立っていた。春の光にその姿はまるで陽炎の様に薄いが わん!もー脅かすなよ、いつもの事だけどさぁ。 金色の犬にとってそれは馴染みの姿だった。 「はは、悪ぃ、悪ぃ。お詫びに一緒に護衛してやるよ。眠気ざましにゃなるだろう」 こうして言葉を交わせるのも。よっこらしょっと犬の隣に座った男は柔かな眼差しで親友の寝顔を見つめる。 「ロイがこうやってうたた寝できる様になったんだからお前も、あいつも大したもんだ。」 くーそう?でも俺もあいつも別に何もしてないよ。それに大佐執務室でも司令部の庭でも書庫でも良く寝ているよ。 「はは、そいつはしょうがない指揮官殿だ。でもなワンコ、ロイはずっとお前さんの事待っていたんだよ」 わぅ?え、俺が大佐に会えるってずっと前から知っていたの? 「そりゃもちろん知らなかったさ。でもあいつ昔から犬大好きでな。学生時代なんか外歩くと散歩してる 犬とかじーっと見てるんだよ。ホント羨ましそうにあと、ペットショップな。買いもしないのにふらりと入って首輪とか見てるんだ。いっそ犬飼えよって言ってもそん時はお互い寮暮らしだったからなぁ」
それはまだ彼らが芽吹いたばかりの新芽と同じくらい生き生きしていた頃。互いに語り合う理想の中の最後にスクェアグラスの親友はこう付け加えたのだ。 「もう少し地位が上がって余裕ができたら私は必ず犬を飼うぞ、マース。大きくて賢い立派な犬だ」 「その前にお前がちゃんと自分の世話できるようになれればな。出世するよりその方が時間かかるぞ、きっと」 「うるさい、時間がかかったってきっと私の犬は待っててくれるさ」 「はいはい、立派な犬と出会える事を祈ってますよ」
だけど砂漠の荒野から戻ってからロイはその事を2度と口にしなくなった。一度だけヒューズは東部転任が決まったロイに良い機会だから念願の犬を飼っちゃどうかと言ったのだが 「実質司令官代行だ。そんな暇はないよ、ヒューズ」 静かに言いきった親友にそれ以上は何も言えず─
「だからなお前さんが来てくれてロイは本当に嬉しかったんだよ・・ってあれ?」 折角の思い出話も子守唄にしかならなかったらしい。金の固まりはころんとご主人様の隣に寝そべってピンクの花びらを黒い鼻先につけたまま幸せそうに眠っている。 「夢の国までご主人様を追いかけて行ったらしい。・・ロイ良かったな大きな犬が2匹もお前を待っていてくれて」 優しげに細められたオリーブグリーンの瞳は陽炎となって静かに空気に溶けてゆく。後にはただ薄紅の花びらが舞ってるばかり。
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