日々是不穏
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2011/08/06(土) 夏コミ情報
新刊入稿致しましたー。いやよかったです。落ちたら例の兎のせいですがなんとか間に合いました。のでお知らせします。
まず委託先はナーバスワード様 東地区ム-30bです。もちろん本人も行きます。
新刊はダブルハボック9「Masquerade」オフセット50p 500円
イシュヴァール内乱の切っ掛けにからむ謎に挑むロイとハボ・・というかツンデレ炸裂のロイと浮気疑惑にやきもきするハボというか、まぁそういうお話でゲストのおかげでちょっとばかりアクションに血増量となっておりますので苦手な方はご注意ください。
以下プレです。拍手ご返事とかは明日にアップします。

「Masquerade」
呼び出されたのは以前一度だけ飲みに行った事のある酒場だった
狭い店内の様子はあの頃とほとんど変わりがなく壁紙のはげた所も全く同じ。まるでこの世の終わりが来たようにシェーカーを振るバーテンの仏頂面も記憶と寸分の違いも無い。時の停まったかの様な空間に入って来た男は一瞬あの時にタイムスリップしたかの様な目眩を感じた。あの時も自分は同じ青い軍服を着ていた。変わったのはただ肩の星の数だけ。
「久しぶりだな・・・。マスタング」
いや違う。とロイはその時もう1つの変化に気がついた。
「お久しぶりです。大佐」
一番奥のカウンターで待っていた男はその階級に値する青い軍服を着ていなかった。黒いシャツに同色の上着を羽織った姿はもうすっかり板についていて彼が自分と違う世界に生きている事を知らせる。それでもその名で呼ぶロイに相手は肩を竦めて手慣れた仕草でマッチを擦り愛用の煙草に火をつける。紫煙と共に流れる馴染みのない香りにロイはまた1つ変わらない物を見つけた。

「あまり俺らを甘く見ないで下さいよ、ロイ」
ぎりと腕を掴んだ男の瞳は氷の様に薄かった。そこにはさっきまでの熱の欠片も残っていない。
「ジャン?」
『そうやって体差し出せば俺らが満足すると思った?これ以上何も聞かないで尻尾振ると思ったわけ』
すっと深くなった蒼にも情欲の色はない。
「どういう意味だ、ジャクリーン」
きょとんとした表情からもさっきまでの匂う様な艶がまるで綺麗に拭き取られたように消える。冷徹な黒に戻った瞳が問いかける眼差しにハボックはため息を吐いて腕の力を弱めた。
「今夜の事はハナから計算された事なんでしょう?あの駐車場で騒ぎが起きる事もあんたは前もって知っていたんだ」
『つまりあれをやった錬金術師はあんたの知り合いなんだ・・違う?』

迂闊に飛び込む悪友を怒鳴りながら後に続けばそこは酒場だったのかカウンターと3つばかりのテーブルが転がった狭い部屋だった。そしてそこにいたのは
「手を挙げろ、貴様っ!」
黒い服の男だった。後ろ姿だが淡い色の金髪が薄暗い店内の僅かな光を反射して光る。そしてその足下に横たわっているのは褐色の肌をした娘だ。切り裂かれた喉からまだ鮮血が途切れる事無く流れ地面に黒い染みを広げている。
『そこのお前!誰だか知らないがナイフを下において両手を壁について大人しくしやがれ!』


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