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2012/02/20(月)
SS『冬日に』
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冬日に
「・・冬眠できないかなぁ」 ぽつりと大佐が呟いたのはある冬の日。灰色の空はどんよりと低くたれ込めて身を切るような風がすっかり裸になった庭の木々の間を駆け抜けてくそんな日の午後。 わぅ?とーみんって何? 「冬の間中ずっと寝ている事だよジェイ。熊やリス・・ヤマネなんかがそうしている」 くー冬の間中?ずっと?目が覚めないまま? 「外は雪に埋もれ氷のような風が吹き渡っても外に出る必要もないぬくぬくと暖かい羽布団にくるまってずーっと寝てるなんて天国じゃないか」 温かな湯気の立つマグカップ片手にそう言う大佐の目はうっとりとまるで夢見てるみたいだったけど。 わぅ。えーっとずっと外に出ないの?雪の中走り回るのもなし?それは・・ちょっとつまらないんじゃ ないかなぁ。第一大佐と一緒じゃなきゃやだよ。 「ああ、もちろんジェイも一緒のベッドで寝るんだ。眠って目が覚めたら春だなんて素敵じゃないか!」 わん。うーん。それならまぁ良いのかな? 「だろう?」 「なーに下らない事相棒に言っているんです」 1人と1匹が意気投合しかけた所で横やりをいれてきたのは金髪の少尉。ほらとテーブルに置かれたのは湯気の立つできたて熱々のアップルパイだ。それにロイが目を輝かせたところで 「冬眠してたらこんな楽しみも味わえないんですよ、冬の間中凍ったサバみたいに冷たくなってて何が楽しいんです」 鋭い突っ込みにロイはフォークをくわえこむ。じとりと上目遣いに睨む様は完全に拗ねた子供だ。 「う・・でもアップルパイは春で食べれる」 「でも冬の寒い日の方がおいしいでしょうが。チキンクリームシチューもポットパイも熱々のホットチョコレートだって冬の方が美味しいに決まってる。第一ロイの好物って冬のメニューに多いじゃないスか。その楽しみを捨てて寝てるんですか?」 「うー」 少しの間湯気の立つアップルパイを睨んでいた大佐は我慢できないと言うようにフォークを 突き刺すと熱々のパイを口に運んで 「・・おいしい」 とちょっと悔しそうに言った。
わぅ。大佐にはとーみん無理だと思うよ?
寒い日の妄想。アメストリスの軍服、あれお腹冷えませんかね?上着とズボンの間はすかすかだし。あそこから冷気が入りそう。下はあのスカートみたいのがあるから温かいだろうけど。もしかして冬期には毛糸の腹巻きが必需品なのかもしれませんね(笑)
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