|
2013/02/25(月)
大遅刻、猫SS
|
|
|
22日はとっくに過ぎてますが某サイトで見かけた読者投稿の写真があまりに壷だったので書いてみました。
「視線」 じー 「ん?」 ふと足下を見ればいつの間にかそこに黒い固まりがうずくまっていた。ピンと尖った三角の耳。ビロードのような毛並みは漆黒、そしてガラスのように丸い瞳はそこだけが金色。 「おーどこから来たんだ、お前。そうかこれ欲しいのか?」 東方司令部の裏庭はいわゆる猫だまりだ。軍人は以外に可愛いもの好きでやって来る野良達はいつもその恩恵に預かれる。今も金髪の軍人は持っていたサンドイッチから惜しげもなくハムを一切れその黒い鼻先にぶら下げた。が 「あれ」 ぷいっと黒い鼻は横を向く。 「何だ。お前猫のくせにチーズが良いのか?」 猫の気まぐれになれているのか男は笑って手にしたハムを自分の口に放り込むと今度はチーズをその鼻先にぶら下げるが結果は変わらない。 「腹へってないのか・・?」 じー それなのに見上げる視線に変わりはない。立ち去ろうともせずじっと足下にうずくまったままこちらを見上げる瞳は確かに何かを要求してるのだが如何せん相手が何を求めてるのかハボックには判らない。 「・・・なんかお前大佐みたいだよなぁ」 傍若無人に振舞うくせに時に無言の圧力で何かを要求してくる態度は確かにあの黒髪の上官を連想させた。 「昨日からなんか機嫌悪くてさーコーヒーとかマメに煎れてもぶすっとしてるし。お茶の時間には余分にクッキー添えても手ぇ付けなかった。体の調子悪いのかって聞いても関係ないの一点張りだし・・」 どうしたら良いんだろうなーと今度は自分の手を戯れに黒い鼻先に差し出す。と すり ふわりと温かい感触が指先に触れる。冷たい鼻先が押し付けられビロードの毛並みが掌に押し付けられてそして離れた。 「・・・そっか」 そっと柔らかい体を抱き上げるとハボックは黒い毛玉を膝に乗せた。すると相手はもそもそとしばらく動いて居心地のよい体勢を整えるとやがてくぁと1つ伸びをして小さく丸くなる。 「大佐もお前くらい素直だと良いのに」 その眠りを妨げないようにそっと頭を撫でながらハボックは猫より判り難い恋人を想う。 この黒猫を満足させたらもう1人の黒猫の頭を撫でてやらなきゃと。
|
|
|