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2013/04/15(月)
シフトチェンジ
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頭をハボロイモードに切り替えるためにウォーミングアップ・・と思ったらちょっと長くなった。続きは来週に。
CSI:EAST IN N.Y 3 「困った・・迷ったらしい」 黄昏の中でロイは呟いた。冬の日暮れは早く辺りはもう薄明の中に沈んですっかり葉を落とした木々のシルエットがまるで現代アートのように見える。 「このまま真っすぐ進めば良いと思っていたんだが・・ここはどの辺だ?」 周りを見回しても動く物は何一つない。木々は黒々と視界を遮り一見どこか荒れ野を彷徨ってるようにも見えるが実は違った。 「たかが公園と侮ってた・・さすがはN.Y」 よおく目を凝らせば木々の間からちらちら見えるのは摩天楼の輝きだ。獣の遠吠えのように聞こえるのはイエローキャブのクラクション。そうロイ・マスタング捜査官が途方に暮れているのは有名なセントラルパークの一角だった。 『セントラルパークには犬の銅像があるのよ』 美人CSI捜査官に教えられて犬好きの血が騒いだロイはハボックとのディナーの待ち合わせをそこに変更してしまったのだ。大体の位置は聞いておいたし、たがが公園すぐに見つかるだろうと思ってわざわざバスを降りて入った公園のは問題の場所とはかなり離れた所で 「彼女の地図もいーかげんだ。スケートリンクのそばこの辺・・って判るか!」 と思わず叫びたくなるほどこの公園は広かった。しかも以外にアップダウンがあって遠くを見渡せない。あちこちに小山のような岩が顔を出して何となくこんな夕暮れには迷宮めいた雰囲気を醸し出してくる。 「道なりに真っすぐ行けば良いと思っていたらいつの間にか外に出てたしな・・あそこで遠回りでも外側を通ってくれば良かった。これじゃあいつも迷ってるだろうし」 更に間の悪い事に携帯の電源がなくなっていた。会議中イーストシティで留守を守るブレダ達と進行中の事件についてデータを送り合ってあれこれ指示を出してたのがいけなかった。 「あいつに連絡できないんじゃ場所を変更もできやしない・・参ったな」 自分より輪をかけておのぼりさんのハボックが件の犬にたどり着ける可能性は低い。鼻を鳴らしてここはどこです〜という鳴き声を密かに期待してた自分にとんだしっぺ返しだなと思いながらロイはともかく前に進んだ。 「ともかく一度外に出よう・・いい加減暗くなったし」 頼りになるのはわずかな街灯だ。大都会のど真ん中だから当然真っ暗ではないが木々の作る闇は濃い。やり手の市長と敏腕CSIチームのおかげでかつての犯罪都市の汚名は返上されたがやはり夜はそれなり危険だ。ガイドブックでも暗くなってからは入るなと警告している。何事にも動じない冷静な男も自分の置かれた状況にすこしばかり顔が引きつる。 「ここで犯罪に巻き込まるなんて、冗談じゃない。第一そうなったら担当は彼女だろうが。犯罪捜査の会議に来て犯罪に巻き込まれるなんてジョークにもならんぞ。そんなみっともない真似できるか・・」 あんた美人の前だとホントカッコつけますよね。垂れ目の犬のあきれたような顔が目に浮かぶ。 憤然と歩き出したロイの目の前に現れたのは水の枯れた噴水だった。
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