日々是不穏
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2013/04/29(月) こんなん書いてます
スパコミまであと1週間切りましたね。なのに新刊のコピー本が進んでくれない(泣)珍しくラブロマンス風に挑戦しようとしたのが間違いなのか。前日は出勤という事を考えれば早めに書き上げて製本の時間とらねば・・ねば。という訳で出だしなぞアップします。多分正式なお品書きその他はぎりぎりまでアップできないと思いますので。

「MEET JEAN HAVOC」

 ジャン・ハボックに会ったら伝えてくれ。私の心は変わらずお前の傍にあると。

『彼』に初めて会ったのは5才の時だ。暦の上では春も間近というのに夜の空気は凍てつき冷え込む日が続いていたある晩ふいにひんやりとした空気に目が醒めた私の目に映ったのは闇より深い人影。すっぽりとマントのような物を羽織った姿は微かな雪明かりにぼんやりとしか見えなかったが私はすぐにその正体に気がついた。乳母が話してくれたような大きな鎌を持ってなくても。何故なら
「待って!死神!」
それはベッドの傍に寝ていた私の大切な友人の前に立っていたから。
「ジャスパーを連れて行かないで!」
物心ついた時からずっと傍にいた忠実な友達であり兄弟であり親代わりでもある老いたゴールデンリトリバー、ジャスパー。
義務でしか私に触れなかった両親の代わりに無償の愛と温もりを与えてくれたかけがえの無い金色の大型犬。時の流れには逆らえず最近は1日中眠ってばかりいる彼にまだ『死』という物が理解できてない私も別れが近い事はなんとなく感じていた。だからその闇が凝ったような影を見た時即座にジャスパーを守るようにるためにその前に立ちふさがったのだ。
「あっちへ行け!ジャスパーは僕の大事な友達だ!お前なんかに渡すもんか!」
恐いもの知らずの子供は『死』を前に両手を広げて喚く。心臓が凍るような冷気もマントにぽっかり空いた空洞の果てから微かに吹き付ける湿った墓地の風にも怯む気はなかった。
『・・・・その犬の時は尽きた。眠る時間なのだ』
黄昏を駆け抜ける吐息にも似た声が何も無いマントの中から響く。人ならざる者なのに何処か困惑したような感じに聞こえたのは気のせいだったろうか。
「嫌だ!」
『彼もそれを望んでるのに?老いた足はもう走る事もできない。体は重く呼吸は浅い。そんな体に閉じ込められて毎日を過ごすのを彼が望んでいるのかい、坊や?』
それに応えるようにクーンと背後の犬が鼻を鳴らした。
「ジャスパー・・」
そっと大きな金の頭を撫でればぺろりと温かく湿った舌がその指先を舐めた。少し前までは立って尻尾を振って顔中を舐め回してくれたのに今はもう大きな体を起こす事すらできない。
無心に見つめてくる黒い瞳は変わらないがその視線は穏やかで私を通り越して遥か彼方を見つめているようだった。
「・・こんな冷たくて暗い夜なんてジャスパーが可哀相だ」
避けられない何かがすぐそこに来てるのをそこで私はようやく悟った。それでもその金の頭を抱きしめて黒い影に懇願する。
「お願いだ、せめて温かくなるまで、花が咲くまで待ってよ!ジャスパーは庭でひなたぼっこするのが大好きなんだ。タンポポやクローバーの匂いが好きでいつも嗅いでたもの。僕何でもするから!約束する!」
恐がりもせず半べそで泣きわめく子供を黒い影もさすがに扱いかねたのだろう。それまでの押しつぶされそうな空気がふっと緩んで
「しゃーねぇなぁ、泣く子には勝てねぇ」
あっけらかんと黒い影は言い放つ。もちろん顔なんか見えはしないが何となく若い男のような声。
「ま、犬1匹少し先延ばしにしても大した影響は出ないよな。
その代わり坊主、約束忘れんなよ?この借りはいつか返してもらうからな?俺のいう事1つ聞いてもらうぞ」
「うん!約束する。あなたのいう事僕何でも聞くよ!」
「ははっ、泣いたカラスがもう笑ってら」
約束だぞと黒い手が私の頭に触れる。その手から流れ込む気は芯から体を凍らせる程冷たいのに何故かどこか温かい感じがした。─それが最後の記憶。


タイトル読めば判るように某ピット氏主演の某映画のパロですが正直に言いますとちゃんと見ておりません。半分くらいは見たんだけどラストも一応見たんだけど肝心の恋愛部分見てないんですよねー。ただあの設定が好きで。ですのでそれ程元ネタに沿った話という訳じゃございません。あといわゆる死にネタってやつもちょっと入ってますのでそこのところ気をつけてくださいねー





























 










































 











































 


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