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2013/05/19(日)
CSI:NY4
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これで完結ですが文字数制限を越えたので残りは日付けが変わったら即アップします
「ええとあれはベセスダの像・・か?」 薄やみの中ぼんやりと丸い噴水の形が浮かび上がる。中央に立つ柱の上には優美な姿の天使の像があってた。観光スポットとしてどのガイドブックにも載っている場所だがこんな時刻に眺めると水の天使もどこか厳しい顔つきに見えてしまう。 「今がここだという事は・・目的地に行くには真っすぐ進んで・・」 もう手元の光だけでは地図もはっきり見えない。約束の場所にハボックがいる可能性も限りなく低いが連絡手段がないロイとしては前に進むしかない。だが前に進むには回廊のような場所を通り上に行く階段を昇らないとダメなようだ。すでに暗闇に包まれたそこはホームレスには格好の寝場所だろうし強盗が潜むには絶好の場所に見える。そこを避けるには横道を行けばいいらしいがそっちはそっちで木々の影が被うように見通しを悪くしている。比較的平和なイーストシティでは刑事のバッヂは持っていてもロイは普段銃を携行する習慣はなかった。安全を考えれば一番近い出口目指して左側の小道を行くのが最善なのだろう。 「でももしかしてハボの奴も同じように迷ってるかも。あいつ律儀だからなぁ」 そりゃー主任さんとの約束ですもん。待つに決まってます。 いつだったかディナーの約束したのに貴重な文献に夢中になって遅れたロイをへらりと笑って迎えたのは垂れ目で金髪の大型犬だ。 押しつけがましくなく自然にそう言った男の笑顔に年甲斐も無く胸がキュンとしたのは墓まで持って行く秘密だ。 「ええい、迷った子犬を捜しに行くのは飼い主の義務だっ・・つ?」 決然と地図から顔をあげた所で鋭い光が黒い瞳を直撃する。突然の事に一瞬固まった視界の中に飛び込んで来たのは黒い大柄な人影。咄嗟に振り上げた拳はがっちりと掴まれて背筋にひやりと冷たい汗が流れた。が 「あーやっと見つけた!」 ふわりと体を包むのは深みのあるゴロワーズの匂い。ぐりぐりと押し付けられる頭は藁麦のような金の色 「ハボっつ?!」 「もー携帯繋がらないし、暗くなるし、あんた来ないし。心配しましたよ〜ロイ」 鋭い光は鑑識御用達のマグライトだった。同じのが欲しいとねだられてロイがプレゼントした物。 「NYは恐い所なんだから。暗くなってから一人で出歩くなってあのおっさんも言ってたでしょうに!」 お前みたいな田舎もの路上詐欺の良いカモだぜ、坊や。せいぜいロイの後を離れないようにしろよ? 旅行の前に散々スクェアグラスの男に脅されたせいかハボックの頭の中ではいまだここは犯罪都市らしい。 生き別れになった恋人に出会ったように感激する男の頭に 「ええい、落ち着かんか、この駄犬!」 「ぎゃん!」 照れ隠しにしてはきつい鉄拳が落ちた。
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