日々是不穏
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2013/05/02(木) サンプルアップ
なんとか新刊出せそうです(これから製本・・)東4ホールこ51b 開店10時30分
新刊「MEET JEAN HAVOC」30Pコピー本200円
ハボロイ某映画パロ人生に飽きちゃた社長と◎神のお話。

「MEET JEAN HAVOC」
「あーあしょうのない坊ちゃんだ」
「?・・誰」
闇の奥から声が響いた。正確に言えば何も無いはずの虚空から。
ざぁっと一陣の風が吹いて急に空気が冷たくなる。雲で隠れたのかそれまで辺りを淡く照らしていた月光が薄れ灯りと言えば屋敷のバルコニーから漏れるわずかな光だけ。
「べそかいてた昔とちっとも変わらねぇ」
「だ・・誰だ、ふざけてないで出て来い!」
白い絹のシャツに包まれた腕で思わず体を抱きしめる程の冷気がが東屋の向こう、バラ園の奥へと続く小径から吹き付けてロイはその闇に向って叫ぶ。
「パーティの客か?ヒューズお前の悪ふざけか?下らん真似しないで姿を現せ!」
「はぁい」
尋常じゃない空気に肩を強ばらせたロイを笑うように妙に素直な声が夜の彼方から届く。くすくすと密かに笑う声がロイの背後に茂みに奥に響き渡って慌てて辺りを見回してももちろん人の気配はまるでない。そうして
「こんばんわ、ロイ・マスタング」
声と共にすうっと目の前の闇が幕を上げたようにそこに1人の男が姿を現した。
「約束を果たしてもらいに来ましたよ」
もう一度風が吹いて月光が男の姿を露にする。前髪は長めの金髪で開かれた瞳は深いブルー。招待客に多い黒のタキシードに包まれた長身の体躯は逞しくビジネスマンというより軍人のような感じだ。
「だ・・誰だ、君は」
「おや、忘れちゃいましたか?」
こつ然と姿を現した男は声を上ずらせるロイににこやかに笑いかけると至極真面目に応える。
「あんたが5才の時願いを聞いてやった者です。あの犬の寿命をちょっとばかり延ばしてあげた死神ですよ」
何でも言う事きくって言ったじゃないスか。




「はい社長が咄嗟にあれはサプライズのアトラクションと仰ったので気にした方はほとんどおりませんでした。新聞の社交欄にもパーティ成功の記事しかありません。・・で社長」
きろりとこちらを射抜くヘイゼルの瞳にロイの頬が僅かに強ばる。次に来るセリフは100%予測できた。
「そちらの方は一体どなたでしょうか?」
穏やかな口調なのにロイの背筋にはひやりと冷たい汗が流れる。
職務に忠実な秘書は時に雇い主に対しても遠慮ない正論を吐き決して容赦はしない。
「なーロイ。いい加減俺ここ飽きた。もっと面白い所連れてってくれよー」
まして身も知らぬ男が社長室のソファにどっかりと座り込み禁煙のはずなのに盛大に煙をふかしていれば声が絶対零度になるのも無理は無い。ロイにしてみればよく保ったなと思った程だ
「あー彼はジャン・ハボック氏と言ってね。私のそう遠い親戚なんだ、ヨーロッパの」



 チキンサンドにローストビール、ルートビアにレモネード。
ビニールシートじゃなくちゃんとした布を木陰に敷いてこれぞピクニックという見本のような光景にハボックは満足そうに目を細めるとうーんと体を伸ばす。
「いーい天気に美味い食いもん。やっぱりこういうのが良いっすね」
「そーうだな」
つられてロイも両手を空に向けて背筋を伸ばした。視界に入るのは白い雲と青い空。聞こえるのは鳥のさえずりに子供の声と犬の鳴き声。時計も携帯も外せば仕事も付き合いも遠い国の事のように思えてくる。
「これこそ最高の贅沢かも知れないな。人があくせく働いてる間にのんびりピクニック」
深呼吸すれば肺に新鮮な空気と入れ替わりに澱んだ灰色の固まりのような物が体から出て行く気がする。掌を日にかざせば熱と自身の脈動を感じた。
ーああ生きてるな。
死神の隣に座りながらその言葉はロイの胸にすとんと落ちた。
「・・なぁ死神」
「なんスか?」
「上手く言えないが多分人間はこういう時があるから生に執着するんだと思う・・サンドイッチが美味しい、風が心地よい、空が綺麗だ・・」
「はーでもそれじゃ動物と変わらないんじゃ?」
「動物の気持は判らないが人はそれが永遠じゃないって知ってるから執着するんだろう。ジャスパーは最後まで私とまた明日遊べると思いながら眠った・・本当に安らかにこんな日差しの中で逝ったんだ。お前が願いを聞いてくれたから」
白い手が死を司る男に向けられる。
「そう言えばちゃんとお礼を言ってなかった。ありがとう死神」
きゅっと大きな手を握れば恐る恐るといった感じで相手も握り返してくる。繋いだ手から伝わる体温は温かく照れたように目尻を赤く染めた男が死神だなんて一体誰が信じるだろうか。
「えーと・・その」
垂れた青い瞳が困惑に揺れて
「ちょっと・・その良いですか?」
「ハボック?」
ぐいと手を引かれて前のめりになったロイが目を見開いた時空の蒼が間近に迫って
「その一度やってみたかったんです、すんません」
子供じみた言い訳共に乾いた唇がロイの口を塞いだ








































 











































 













































 











































 













































 


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