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2013/07/22(月)
サンプルその3
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「それって自白ですよね、じゃあ犯人はそいつって事じゃないですか」 夜食のハンバーガーとミネストローネを差し出しながらハボックはあきれたように呟く。今日からラボに泊まり込みだと言われれば反対はできないがこうしてせっせと差し入れに来る事はできる。 「だがそれがカイル本人と証明はされてない。彼の音声データは向こうも入手できなかったからな」 職場への差し入れに付き合い当時なら文句の1つも言っただろうが今はもうなし崩し的にロイは受け入れてしまっている。 『別に悪い事じゃないし、気にする事はありませんわ』 『ついでに俺達も美味いドーナッツにありつけますからね』 とどこまで見透かされているか判らないがすっかり餌付けされた部下達はそう言うのでロイも開き直ったと言う訳だ。それに今回はハボックも最初から巻き込まれているので気兼ねなく話ができる。 「カイルの知人に音声を聞かせた所似てるという証言は得られたが断言はできなかった。残念だが声紋で血縁関係は特定できない」 DNAならアレルという共通の因子の存在で血縁関係である事が証明できるが声ではそれができない。スカーの音声データはあるからもし声で血縁関係が判るならカイルの声といえるのだが。 「しかしスカーって奴も兄の事信じきってますね。あんだけ危ない橋渡って無実を証明しろと言ってくるんだから」 「肉親の情ってものはそれ程強い。以前ステラに聞いた事があるが兄の冤罪を信じてそれを証明しろと脅迫してきた男がいたそうだ」 「それって今度の事件と似てますね。で冤罪は証明できたんですか 「いや、証明できたのは有罪だ。そして弟は逮捕された。だが弟にとって兄の有罪はどうしても受け入れられない事だったのだろう」 「・・・もし今度の件で冤罪が証明できなかったらあんたが直に連中に言うって言いましたよね?本気ですか」 最悪の事態を想像したのかふっとハボックの気配が警官から軍人に変わる。 「言っときますがイシュヴァールの民は頑固ですよ。おまけに名誉を重んじるし身内の結束はもの凄く固い。裁判で陪審を説得するのとは訳が違うんです。それに連中はテロリストなんでしょう?」 「いやシュトルヒの話によれば彼らはテロ組織とは無関係のようだ。どこの情報機関にもデータがないしあの国境地帯に住む部族は元々政治には興味を持ってないらしい」 「だったら余計決心が固いって事じゃないですか!」 荒れ地で静かに暮らしてた民が人質を取って大国を脅したのだ。生半可な覚悟でできる事じゃない。下手をすれば軍隊が送られてくる可能性だってあるのだから。 「ロイが連中と直に会う時は必ず俺も傍に居ます。護衛として」 「ハボ、待て、それは」 それはハボックにとって戦場に戻るのと同じ事だ。あの砂漠の国で感情全てを失いそうで恐いと除隊したハボックが銃を持ってそこに戻る?ロイにそれが許せる訳は無い。 「・・・ダメだ。ジャン」 「ロイ」 「お前を軍人に戻す事なんてできない」
※スカー兄の名前は勝手に捏造してます〜。あと1週間なんだけどここに来て壁にぶち当っております(汗)どこぞの巨人がぶっ壊してくれないかな
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