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2014/02/24(月)
遅ればせながら猫の日SS
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A rival in love
兵は拙速を貴ぶ─それはどんな戦いにも有効な事
「あっれーおかしいな」 「何をしてるのだね、ハボック少尉」 東方司令部の裏庭、古ぼけたベンチのある一角で何かを捜すようにきょろきょろしていた金髪の少尉に声をかけたのはその上官にあたる黒髪の大佐だった。 「何か落とし物かね。下ばかり見てるようだったが」 突然現れた上官にぴっと背筋を伸ばすのを鷹揚に笑って問えば少尉はちょっとほっとしたように肩の力を抜いて笑った。 「えーっとその・・猫を捜していたんです」 「猫?」 「あの俺時々ここでメシ食うんです。天気のいい時とか。実家から野菜とかハムとか一杯送ってくるんでたまにサンドイッチとか作って」 「ほう君は料理ができるのか」 「料理って程のもんじゃありません。具材切ってパンに挟むだけっす。でここで食ってるといつもやって来る猫がいるんですよ。黒くて尾っぽが長い。多分俺のハム目当てなんでしょうけど・・ってすいません。野良猫餌付けしちゃまずいっスよね」 司令部の敷地は広い。けれど仮にも軍施設なのだ。野良猫のたまり場になっては外聞が悪かろう。これは叱責されるかと首を竦める少尉に上官はいたずらっ子の笑みを浮かべた。 「猫の子1匹で揺らぐ司令部ならそっちの方がまずいよ、ハボック。要は私が黙ってれば良い事だ。で少尉その見返りは?」 「あ?あ、はいどうぞ!」 にんまり。チェシャ猫の笑みを浮かべた上官にサンドイッチを差し出した少尉は知らない。 問題の黒猫が高級猫缶に釣られて倉庫へおびき出されてた事を。
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