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2005/09/01(木)
ぴっくあっぷす1 こわしや我聞(我聞x陽菜)
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現場から戻った我聞が自社のプレハブの扉を開ける。 「……、あれ、誰もいない。」 遠くから見たときには電気がついていたため、誰かいると思っていたのだが、実際には誰もいなかった。 不思議に思いながら周りを見回してみると、かすかにパソコンの機動音がしている。 「なんだ、いる……」 笑いかけようとする我聞の言葉は、見えた光景にさえぎられた。 腕を枕にして眠る陽菜。整った唇からはすー、すー、とかわいらしい寝息が漏れていた。 目の前のパソコンのディスプレイには、支出、収入等、びっちりと文字が書き込まれている。 それを見れば内容が良く分からない我聞でも、合計の部分が赤字になっていることは分かった。 その大部分の原因が自分であることを、すまなく思う我聞。 由々しきことだ、と眉をしかめ反省する。 「……しゃちょお……」 「!」 と、寝息にのせて、陽菜が我聞を呼ぶ。 起こしたか、と驚いて振り向く我聞。 その心配をよそに、少し唸って陽菜の寝言は続いていく。 「……あ、だめです。そんなことしないで下さい。ああ、そっちじゃありません……」 (む……、夢の中でも俺は迷惑をかけているのか!?) 日ごろから頼れる社長を目指す我聞には、日ごろ迷惑をかけているだけに、この寝言は耳に痛いものだった。 思わず我聞は顔をしかめてしまう。 「……全く、仕方がないですね。」 陽菜の困ったような寝言が続く。しかし、その顔は反対にどこか晴々と嬉しそうな笑顔だった。 そのきれいな顔に、思わず見入ってしまう我聞。 その場をパソコンの駆動音だけが流れる。 時間にして数分か、数秒か。陽菜がもぞり、と体を揺らし、唸る。 何もやましいことはないのだが、何故か後ろめたい気持ちになる我聞。わたわたと慌てるが、陽菜に何の影響もない。 そのまま陽菜が目覚める。 「……社長?」 「あ、お、おはよう、國生さん。」 沈黙が流れる。 「あ、疲れ……」 「……もしかして聞いてました?」 心なしか陽菜の頬が染まっている。どうやら寝言のことを言っているようだ。 「き、聞いてないぞ。うん。」 「……そうですか。とりあえずこれ終わらせますから、待っていてください。」 まだ疑ってはいるようだったが、一応の納得を見せる陽菜。 追求を避けるように我聞は目をそらした。 陽菜がパソコンの電源を落とすのを待って社屋を出る。 二人は社宅の前で別れ、それぞれの自宅へむかったが、その間中、終始無言だった。
翌日、どことなくギクシャクした二人に、優が首を傾げていたのはまた別の話。
あの後、GHK探しました。案の定見つかったのですよ。 岡山帰ったら入ろうと思います。
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