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2005/09/10(土) ウォーカーって嫌いなものなさそうよね。
「……」
ホテルの一室。
頭に手をやり、苦虫を噛み潰したようなアレン。
目の前には、エプロンをつけたラビ。その手にはみたらし団子。
「ほれー、アレン食うさ〜。俺が愛情込めて作ったんさ〜。」
うりうりと団子を突きつけてくる。
その表情に、照れ、などというかわいらしいものはかけらもない。あるのは満面の楽しみ、それと笑い。
「……いい加減にしてくださいよ!!」
とうとう我慢が出来なくなって押しのけるアレン。
それにあわせて、ラビは演技過剰気味に、しりもちをついた。その様が、何故か妙に板についていて、逆に気持ち悪い。
「一週間、毎日毎日毎日……一体何のつもりなんですか!!」
火を噴くように言葉を吐き出すアレン。
しかし、対するラビは涼しい顔。アレンの怒号などどこ吹く風である。
「だって、前、エプロンつけてみたらし団子毎日作ってくれたらアレン惚れるって言ったさ?」
事の起こりは前にアレンがそうもらしたことだった。
しおらしい台詞をはくラビ。言葉だけ聞けば、けなげで心打たれる。打たれるのだが、その顔はこれ以上ないくらい楽しそうに笑っている。
……声を上げるのだけは必死に我慢しているようだが。
「そんなの、女性限定に決まってるじゃないですか!!誰が男になんか!!」
その態度は更なるアレンの怒号を呼ぶ。もちろんそれはラビの狙い通り。冷静を欠いたアレンは、その手のひらで転がされていた。
「じゃあ、リナリーとかなら惚れんの?」
さらに、誘導。アレンに、ここでリナリーが出てくることに疑問を覚える余裕はなく、そのまま本音をぶちまけてしまった。
「ええ、もちろん惚れますよ!?それにリナリーかわいいですし!?不満なんかありませんよ!!」
と、バタンと扉が閉まる音。
慌ててアレンが振り向くと、再び扉が開いた。
「何を騒いでおる。リナ嬢も出て行きおったぞ。しかし、よくもまあ、あのようなこと言えるのう。」
かっと赤くなるアレン。まさか、先ほどの話を聞かれているとは。
ふと目をやると、ラビが腹を抱えて笑っていた。その顔には、してやったり、という笑みが。
やられた、と後悔が走る。始めからラビは計算していたようだ。
ところかまわず一週間続けた、このみたらしエプロン。
泊まったホテルの壁の薄さ。
果ては、アレンの隣にリナリーの部屋を決めたこと。
全ては、初めから狙われていたのか。
ココまで狙われると、逆に感嘆の念を抱かされる。
「よいのか?リナ嬢を追わなくて。」
その感嘆も、ブックマンの一言で一気に吹き飛んだ。
慌てて部屋を飛び出すアレン。
後に残ったのはブックマンのため息と、笑い死にしそうなラビ。
走りながら、今晩、ラビに引導を渡すことを硬く決意したアレンだった。


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