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2007/09/29(土)
すごく怖い国アメリカ
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やっと「戦争指揮官リンカーン」(文春新書)を読み終えた。なかなか面白かったが、読み終えて一番怖かったことーなんと最後の章に出てくるのである。負けた南部連合の高級軍人や高官は、戦後市民権を剥奪されたとか。が、1872年の恩赦によって大半の人の市民権は回復されたが、なんとリー将軍は除外されたという。彼は回復を申請したが、完全に無視され、なんと回復したのは1975年、フォード大統領の恩赦によって、であり、それはリー将軍の死後105年が経っていたというから、ぞっとした。何という国だろうか。そりゃ、国を二分する戦争ではあったけれど(国といっても、戦場は今の国土の半分じゃないの。。)敵といっても同じアメリカ人ではないか。別の国を作ろうとした「裏切りもの」「反逆者」といっても、リー将軍だって考えるところがあって、よかれと思ってしたことじゃないのか。死後105年というその「ナチ狩り」にも似た執念怨念にはぞっとする。少なくとも、同国人だったではないか。日本人には、この執念怨念の精神風土はないのではないか(歴史を知らないけど、市民権剥奪同様のことが”日本国家の反逆者”に対してなされたことはあるのだろうか。あんたはもう日本人じゃない、みたいな??)。それにしても、この風土を考えると、戦時中の日系人の強制収容の歴史を思い出さずにはいられない。忠誠登録にノーノーと答えた人々に対する、国家やコミュニティの白い目。。ノーノーボーイたちが犯罪を犯したわけでは一切なく、戦後、市民権は弁護士の努力によって回復されたけれど、それでも日本に帰った人の中には、どんなに回復を望んでも、政府は回復を拒否したとの記事を読んだことがある。収容所でかなりの”トラブルメーカー”として歴史に記録を残した人だ。その人も死後、回復されたようである。ああ、恐ろし、恐ろし。。。配偶者にも言われてしまった、あんたも言動に気をつけたほうがいいよ、と。そうだなあ。「民主主義と自由」を守るための戦争で、リンカーンは敵をとことん容赦なくたたきつぶせ、と命令しているのである。そして、それが現代のイラク戦争まで続いているという。げっ。。アメリカはそういう覇権国家なのである。軍事政権国家ビルマやら中国やら北朝鮮とどう違うねん。。日系史の英語版の仕事は遅々として進まないが、この調子だとかなり注意してやらねばまずい。。。ああ。。。あと10年ぐらいかかるかも。。(悲)
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