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2008/11/26(水)
勇気
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知人(若い日本人女性)監督の映画が完成したというので、シカゴまで見に行った。感激した。といっても、映画の出来が特別いいからというわけではない。(笑)実は、パーティの席で監督から、映画の企画段階から話を聞いていたのである。パーティの出席者からは、やいのやいの批判の声が出た。沖縄の米兵レイプ事件という基地・政治問題、黒人がからむこと。。。扱うのがむずかしいのでは、という声だった。そして、ストーリー自体もありえるのか、と。。パーティには精神科医もいたから、何かと議論が面白かった。それから、1度、シカゴでの撮影現場を見せてもらい、それから2回試写を見た。まだ音楽が入っていない段階である。ストーリーだけを見て、みなが批評するのである。相変わらず、私ははっきり批判した。(笑)だって、どう見ても、どうもなあ、と首を傾げる出来だったからである。そして今回は、いよいよバックグラウンドの音楽も入り、完成して、シカゴのアート映画上映館での上映である。映画が始まった。びっくりした。しょっぱなから、違う絵が出てくる。流れもぜんぜん違う。ストーリーそのものは同じだが、シーンも、台詞も違う。これはものすごい編集が入ったな、と思った。その途端、感激したのである。作り手の勇気に。。一度、作り上げていたものを、また最初からやり直すのは、ものすごいエネルギーが必要だったろう。発想の転換は痛みを伴う。いままでの考え方を完全に崩さねばならないからだ。少しでもエゴが入ると、発想の転換はむずかしくなる。自分を全部消して、もう一度作品と自分が伝えたいメッセージだけを、とぎすました心でのぞきこむ。そして、思いきって、えいや、と転換する。監督の勇気を見たとき、私も勇気をもらった。3回見て、ほんとによかったと思った。映画の出来よりも、映画作りのプロセスを見せてもらったことで、普段なかなか知りえない世界を見た。そして、私もがんばろう、と思った。リンカーンでふうふう言っているのである。もう4年間ぐらい書き続けてきて、やっと南北戦争が始まった、ああ、もうすぐリンカーンさん、死んでくれるよ、とほっとしているのだが、問題はこれからである。発想を転換せねばならぬ。転換させて、問題を絞りこんで、それからすべてを組みなおし、新しい世界を提示せねばならぬ。。大変だけれど。。。でも、ここが一番楽しい部分でもある。苦があるからこそ、喜びもある。勇気をもつこと。自分のエゴを消す勇気、作品の世界だけを凝視し、思いきって、無駄を削り落とす勇気がもてますように。。がんばるぞ!!!
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