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2008/02/25(月)
激震地5
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きのうは事件から10日。最後のメモリアルの式が行われた。1万人収容のコンボケーションセンターがいっぱいになった。7時からの式に、4時半から出かけ、寒空の下、センターの入り口で長い行列を作り、1時間以上立って待ち、身体が冷え始めて、ここまでする価値があるのかよ、といつもの短気が出始めて、どうなることやら、と思ったが、なんとか建物の中に入れば、今度は空港並みの金属探知機を通り、やっと会場に入って、一番上近い高い席に腰を下ろして、ほっとである。それから待っているあいだは、ずっとスライドショーで、同じ絵が繰り返し出てくる。大学の写真、なくなった5人の十字架の写真、十字架の回りに飾られたプレゼントの写真、笑っている学生たち(犠牲者のではない)の写真。。ショーだな、と思った。コミュニティあげてのショー。。式が始まって、演台に上がったのは、学長、学長の奥さん、副学長、同窓会会長、学生自治会会長、町の市長、州知事、州上院議員、ブッシュが送ってきた聞いたこともない閑職の肩書きを持ったおっさん、そして極め付きはバラック・オバマ!!イリノイ選出連邦上院議員で、大統領候補である。おお、これだな、と思った。テレビカメラ10台が狙っているのは。。オバマが何かしゃべるかな、と思ったけど、しゃべらず。式を政治集会にできるわけでなし、そこにいて、存在感を示すのが目的だったらしい。なるほど、なるほど、さすが地元の政治家。納得である。ジェシージャクソンよりいいや。式のあと、演台を降りたオバマの回りには人だかりが出来ていた。あそこにいけたのは、大学関係者とメディア、そして犠牲者たちに近い人たちだけである。SP二人が、演台の上で仁王立ちである。すぐにも銃が抜けるよう、両腕はわきを少しあけた構えの格好である。おつかれさん。。演説がへたくそだったのは、市長に州知事。上手だったのは、やはり大学関係者。自分たちの大学、という気持ちがこもっているからだろう。それにしても、今回の事件で、アメリカにとってのコミュニティがどういう意味を持っているか、よくわかったような気がする。地元の新聞には、バージニア工科大学で多くの学生を集めて行われた,今回の事件のためのvigilの写真が掲載され、学長が地元の新聞にメッセージを載せ、地元の商店には、our thoughts are with youという看板が立ち並び、家の近所の道路沿いには、大学のシンボルである赤と黒のリボンが並んだ。コミュニティー地元だけでなく、同じ痛みを共有する全米のコミュニティのtogetherがメッセージである。あなたは絶対に1人ではない、あなたの痛みを理解しようとする、経験した人間がいるんだよ、安心してーいろんな人間がいるけれど、それを全部飲み込んで、私たちは家族なんだよ、みんなといっしょなんだよ、とのメッセージを即座に発信できる包容力ーアメリカに来てよかったと思った。日本のように、コミュニティとは内向きで、同じ種類の、同じ考えを持つ人間が集まる場所ではない。めざすべくメッセージを共有する人たちが、外向きに集まろうとする流動体としてのコミュニティである。今日から、いよいよ授業再開である。ただただ前進するのみ。それはそうと、今回の事件処理で、大学が見せた一連の行動があまりにも誠意あふれるいいものだ、という評価を得て、なにやら来年の入学を希望する学生数が増えているとか。。私も先週からずっと、金曜日のvigilでもらった赤と黒のリボンと、大学のバッチを胸につけて、仕事に行っている。きのうも、たくさんのリボンとライトが配られていた。たぶん地元の商店からの寄付だろう。すぐにこういうものが出来上がって、皆に配られるという気持ちと機動力がすばらしい。犠牲者の家族の思いを考えると、まだ胸が痛むが、事件からエネルギーをもらったことは確かである。もらったエネルギーをコミュニティに返すのがこれからの私がするべきことなのだろう。がんばらねば。
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