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2008/06/11(水)
自分にはくをつける?
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最近、「学会」やら「ドクター」といった言葉に、齟齬だかうさん臭さを感じさせられることが何度かあった。ああ、いやだなあ。。はったりのような響きがあるのに、でも社会的権威があるからと、その言葉さえ発すれば、何事も免責になるといわんばかりの言葉の響きに触れると、その言葉からネガティブなエネルギーが発せられて、気分が悪くなる。学会といえば、そういえば、配偶者のことを聞かれて答えると、ええっ、英語の先生にも学会があるんですか、学会って先端技術のことじゃないんですか。。がはがはと笑った日本人駐在員のおっさんがいた。そんなこと言ったら、世界中の学者が怒るぞ、みんながみんな金儲けのことばっかり考えてるわけじゃないんだ、とむかっと来たが、門外漢とはこんなもんだろう、言ってもどうせわかるまい、と思って黙っていた。(笑)つくづく思う、「ドクター」って何? 博士号のことをドクターと呼ぶんだったっけ。そんなに大事な、権威あるものなの?? 学者・研究者の仕事は論文を書くことである。そして、自分の論文が何回、同業者の論文に引用されたか、その回数を競う世界である。ああ、くらいなあ、うっとうしい。。(笑)いちいち数えている人間だか機械があるそうである。考えただけでぞっとする。論文を書く人間は遊ばない。毎日毎日、朝から晩まで、自分の書き物のことを考え、その世界で「遊ぶ」。理系の学者で実験をするとなると、実験は1日だって目が離せないから、ますます遊ばない。理系の大学の先生は、自分の実験プロジェクトにかかる費用ー自分の給料から自分の下で働かせる大学院生の給料まで、一切合切をどこからか調達してきて、調達してきたら、大学での雇用が継続されるという世界だそうだ。研究者・学者の世界は非常に厳しい。学会に行くのだって、お金がかかる。大学に職のある人間でも、所属学部が予算をもっていたら、多少は出してもらえるかも、だが、それ以外は全部自分のお金を使う。他州の学会に1週間も出かけたら、飛行機代やらホテル・食費で、2000ドルは軽く吹っ飛ぶ。それでも、自分の研究発表を実績・業績とするために出かけていく。学会に行っても、「金になる仕事」はない。同業者と顔つなぎして、将来の職を探すところである。大変な思いをして、ものすごいコストとエネルギーをかけて一本の論文を発表するわけだけど、お金にはならない。極論すれば、学者なんて自分だけの「趣味」の世界に生きてるようなもんだ、と言ってしまえば、ますます怒られるか。。(笑)たとえ博士号をもっていたとしても、たとえ1年でも業界?からブランクのある人間は、片手間に「ドクター」になれるような世界では決してない。必死で仕事をしている研究者に失礼というものである。それなのに。。。「ドクター」と聞けば、水戸黄門の印籠でも見せつけられたように、頭を下げる人間がいるんだろうな。。ふんだっ、「ドクター」がなんぼのもんだあ。。(笑)それにしても、なんで人は自分に自分ではくをつけたがるのだろう? 旦那の博士号で、自分にはくをつけたがる主婦もいたよなあ。自分のならまだしも、旦那のものでも、はくをつけたら、それで他人が頭を下げたら、エネルギーが回ると考えるのだろうか。私はそうは決して思わない。そんなはったりのエネルギーはしょせんネガティブで、から元気にすぎない。人に見栄をはるような言葉は、発した人間を少しずつからめとっていき、結局は、最後に自分で自分の首をしめることになるだろう。ほんとに力をもっている人間は、自分で自分にはくをつけることなどせず、他人に見栄をはることもなく、ただ黙って自分の道を、自分の納得のいく結果が出るまで、ただじっと黙って仕事をし続ける。あくまでも言葉にしない、言葉にならない本物の何かを内に秘めて。アメリカで生きていくのは大変である。日本で何をしていたか、なんて一切関係ない。この国で何をしたか、どんな業績をあげたか、だけが問われる。たとえ博士号をもっていても、その道で何の業績もなかったら、へたしたら学位なんて、本人のエゴを膨らませるだけだろう。アメリカで出会いたい人ーたとえ博士号を持っていても、生活のためだと割り切って、英語のできないメキシコ移民たちといっしょに、高速道路の建設工事に携わることができる勇気と能力がある人。。ああ、そんな人が、一日の終わりに飲む、一杯のビールにつきあいたいなあ。。(笑)とは言うものの、やっぱり挫折感をきれいに拭い去るのはむずかしいかも、なあ。。。となると、やっぱり「ドクター」なんて、余分なものは持ってないほうが幸せというものか。どうせ「ドクター」になるのにどんなに苦労しても、苦労に見合うお金には簡単にはならず、へたしたら空虚な「ドクター」を振り回すだけなら、つける「はく」がないのが一番いい。。人生、無駄な言葉を発しないシンプルな生き様が一番力を持っていると思うから! 道端に咲く、名もなき野草の一生。でも、翌年の春には絶対に芽を出す野草。。。売れないライターはやっぱりこれだ!(笑)
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