〜ing〜アメリカつれづれ日記
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2011/09/19(月) 乙武氏への抗議4
 乙武氏に欠如しているように思われるのは、ご自分に与えられた恵まれた環境がもつ巨大なエネルギー、つまり知力、資力、能力などを、多種多様な少数派の人々のempowermentのために、すべての人々にとって社会が少しでも生きやすいものなるように、外向きに、社会の底上げに使っていこうとする視点でしょうか。
 
 記事では、乙武氏には、障害をギャクにさえしてしまえる"余裕"がある、とありますが(55ページ)、そんな余裕は、あくまでも社会の"主流"から見た、"主流"が受け入れ、扱える範囲内での"余裕"でしかありません。乙武氏のほんとの余裕とは、ご自分のエゴなり欲をうち消すことで、より広い視野をもって、乙武氏ほど恵まれていない、無数のさまざまな人々のために社会活動ができる、その懐の深さで発揮されるべきものです。それが、"35年生きて、差別や偏見を感じたことが一度もない"恵まれた人の社会的使命と私は考えます。
「カタワ」論ですが、記事から分からなかったのは、乙武氏が、ほかの障害者をも「カタワ」と呼ぶのかどうかです。アメリカでは、非アフリカ系の人間が、アフリカ系アメリカ人を「ニガー」と呼べば、人種差別の違法行為となりえますが、スパイク・リーの映画でも見られるように、アフリカ系同士が「ニガー」と呼び合うのを、非アフリカ系は批判することはできません。「カタワ」に関しても、当事者と非当事者の力関係を見据えた視座が必要なのでは、と考えます。

 私自身は、恵まれてきた乙武氏が「重度の障害があるのに明るい」(57ページ)おかげで、口封じされ、いやな思いをしてきた人間です。つまり、背が高いから、足が大きいからと、他人の暴言に悩んできたと他人に告白しようものなら、乙武氏と比べられて、あんな障害のある人でもあんなに明るく生きてるのに、あなたは何と贅沢な、その程度で悩むな、という論法で責められてきたのです。自分を他人と、とりわけ自分よりかわいそう、自分より下と思える人と比較し、優越感を感じることで、自分の状況を納得させようとする"処世術"は完全に間違っています。しかし、「勝ち組」「負け組」といった言葉が全国を席捲する日本社会は、そんな姑息な権威主義的処世術を奨励することで、少数派たちの悩みを口封じしてきたのではないのか。恵まれているがゆえに"明るい"乙武氏は、もしかしたらご自分がそんな日本社会のいびつさにおおいに貢献してきたのではないか、と自問自答されたことはあるでしょうか。少なくとも、日本社会が認めたがる姑息な処世術を打ち破るのは、"主流"社会に向けての当事者の"明るい"自嘲ではないことだけはご理解していただきたいと思います。


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