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2012/05/08(火)
ライラックの季節
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またライラックの季節がやってきた。昔、赤毛のアンを一生懸命読んでいた時代、ライラックの花がよく出てきた。どんな花か知りたかったから、庭に植えた。むせるような強烈に甘い匂いが庭にたちこめる。この匂いだけが魅力の花だ。書き物がむずかしくなってきて、またタバコを買ってきて、職場の休憩時間に吸っている。腰をおろしたベンチの横にも、ライラックが咲いている。その上に、蝶がとまっていた。ああ、父親だ。。たばこ片手に、母親をよろしく頼むよ、と声をかけた。きのうは、庭で、花の終わった鈴掛けの世話をしていたら、頭やら腕に白い花びらがいっぱい落ちた。すごくうれしかった。ああ、こうやって自然とともにあるのはどんなに幸せなことだろう。友達には、売れる本を書いたら、と揶揄される。シカゴで知り合った精神科医からは、日本で、そりゃもう自分の名が売れていくことがうれしくてたまらないような情報メールが送られてくる。売れてよかったね、と内心、彼に声をかけてはいるが、有名になりたい人の気持ちが私にはやっぱりさっぱりわからない。本が売れ、有名になるというのは、確かに一時的にはエゴを満足させるかも知れないが、メディアによって、魂が骨抜きにされていくのと同時進行である。そうじゃないと、どうして多くの有名人がドラッグとやらで身を滅ぼしていく??? このあいだも日本からのテレビで、尾崎豊という、もう没後20年にもなるらしい歌手の話を一生懸命していたが、彼もドラッグで身を滅ぼしたらしい。有名になる、なんて、しょせん他者の評価に身をゆだねることにすぎず、自分の幸せとはまったく関係がない。私は、こうやって、一人タバコを吸って、ライラックの匂いをかいでるほうがどんなに幸せなことか。売れない原稿でも、書きたいことが書けるのが、ライターとしては一番の幸せである。そういえば、その尾崎豊の話でびっくりしたのは、このごろの人は、自分が自分らしくありたい、自分らしくあるためにはどうしたらいいか、と悩むらしい。びっくりした。私は、そんな悩みをもったことがない。(笑)自分は自分以外の何者にもなったことがないから。。尾崎という人は、自分らしくあれ、と歌って、人々の共感を得て、有名になったらしい??そんな、私にとっては常識でしかないことを人々に訴えねば、有名になれないのなら、私には最初から有名になる資格なし、である。常識を歌って有名になるから、ドラッグが必要になる???有名になりたいのなら、常識はずれのオリジナルなことをやって、存在感を示せばいいのに。(笑)ライラックの季節をまっすぐめでることができる幸せ以上のものがあるだろうか。
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