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2013/09/16(月)
めぐってきた季節
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とうとう秋が来た。もう半そでのTシャツでうろうろすることはできない。軽い長袖の重ね着が気持ちのいい季節になった。ちょうど去年の10月の日本みたいに。久しぶりに庭に出て、草抜きをした。そろそろ冬支度をせねばならない。土をいじくっていて、ああ、去年のこんな季節に、母の車椅子を押して、ホームの外に出たなあ、と思い出す。風がゆっくりと流れ、陽がゆっくりと注ぎ、顔を空に向けて、静かに目を閉じれば、ああ、至福の時間だ、このまま空気に溶けてしまいたい、と思える季節である。あれから1年、母は消えた。ボランティアをして、年をとることが実感としてわかるようになった。年をとれば、死ぬ。必ず死ぬのである。頭ではわかっていても、お年寄りといっしょに時間を過ごすことなく人生を送った人間には、受け入れがたい現実だった。1年経って、少しは受け入れられるようになった気がする。そして、毎年、この季節になれば、車椅子に乗って、気持ちよさそうに顔を空に向けていた母の顔を思い出すのだろう。感謝の季節である。去年の10月が、人生で一番満ち溢れた、母娘らしい時間がすごせた時間だった。与えられたことに感謝せねば、とつぶやきながら、雑草をひきぬき、マルチを土にかける。また来年もがんばってね、と。日本からは、台風で樹齢800年の大木が倒れたとニュースに流れていた。自然には絶対に勝てない。人間も自然の一部である。絶対に死からは逃れられない。自然を受け入れることー花鳥風月をめでて、わが身を自然に任せることー今、一番幸せな季節の中にいる。
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