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2017/08/12(土)
ガンカメラのメンタリティ
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敗戦の日が近づいているからか、日本からのテレビも原爆や戦争ものが多い。もう、原爆ものは絶対に見ない。原爆は悪い、こんなものを落としやがって的な、被害者意識の強いセンチメンタリズムにはうんざりしているから。とりわけ核兵器禁止条約に署名しない日本政府のへっぴり腰にはあきれかえって、今さら原爆ものを見て、テレビ局は、脚本家は視聴者に何を考えさせたいのか。あほ。要するに、現実は、原爆はこんな被害をもたらす、うんぬんのセンチメンタリズムでは片づけられないということだ。漫画家の水木しげるは、取材に来た人間に、絶対に、戦争は悪い、とは言わなかったそうだ。悪い、といった単純な言葉では言い表せないからだろう。ほんとに現実に向き合うということはーそれを、きのうのドキュメンタリーではっきり思った。ガンカメラが記録した大空襲の映像を分析した番組である。3月10日の東京大空襲から始まって、8月15日を過ぎてまであった焼夷弾による本土攻撃の様子である。母親の声がよみがえった。どんどんどん、と、B29から焼夷弾が落ちてきてなあ、こわかったあああ。 見ていて思ったのは、ここまでやられても、まだ日本は、わかりました、もうちょっとやめましょう、やめてください、とは言わなかったアホさ加減だ。アメリカ側には、日本民族は抹殺だ、という声があった。だから、B29からP51まで、本土攻撃には何の躊躇もなかったろう。インディアン戦争をやって国を作った人間たちである。そのあたりは容赦ないのである。ものすごい量の焼夷弾が落とされた。それでも、日本は、子供たちに竹やりをもたせて、米英をやっつけます、と言わせていた。あほ。問題は日本のやり方である。アメリカはパターナリズムの国である。だから、負けた、ではなく、やめましょう、とでも言えば、おおそうか、じゃあ、やめよ、となり、あとは頭をなでなでしてもらえた可能性大なり。頭をなでなでしてもらいながら、ようし、次は絶対に負けんぞ、今に見ておれ、とでも闘志を燃やしていればいいんだよ。それが、あの東条、アメリカ側の資料にも残っている、東条には白人の友達がいなかったから、アメリカ人の考え方がわからなかったと。勝つためには相手を知らねばならぬのに。いや、相手だけではない、自分のしていることも知らねばならぬ。それがガンカメラである。
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