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2006/06/19(月)
不思議なはなし
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私の実家の近くに狩野川というそこそこ大きな川があるんですが、そこに「稚児ヶ淵」という淵があります。淵って言うのは、水が深くよどんだところであり、昔は「底なし沼だ」といわれていたそうです。
そんな淵で、東京から遊びに来ていた大学生が亡くなるという事件が発生しました。今から4年前の夏休みのことです。 私の街は東京から比較的近く、休みになるとよく若者たちがドライブにやってくるんです。んで、その大学生たちは、河原でバーベキューをやりに来たそうです。狩野川は、一方は崖のようになっており、例の淵もそちら側にあるんですが、対岸はちょっとした広場になっており、バーベキューに興じる家族連れや若者をよく見ることができます。 そんで、その大学生たちもバーベキューを楽しんでいたのですが、そのうち調子に乗った奴らが対岸に見える崖から川に飛び降りよう!みたいなことを企画したのです。つまり、例の淵に飛び込んで遊ぼう!ってわけです。そしてその中の1人が亡くなってしまったのです…。
これだけ聞けば、たいしたことではないように思われるかも知れません。しかし、これにはいくつかおかしいことがあるんです。先ほども言ったように、ここは淵です。よどんでいるんです。つまり、川の流れが全くない所なんです。そして、それほど浅くもない。さらに、崖の高さというのもそれほど高くはない。つまり、普通に飛び込むぐらいならまず死ぬことはないんです…。
しかし、一つ気になることがあるんです。 最初に書いたように、その淵の名は「稚児ヶ淵」、つまり「子供の淵」という意味なんですが、そのような名前がついたのにはある理由があるんです。 200年ほど前、まだ小さな村だった私の地元に見慣れない少年が現れました。その少年はなにをするでもなく、朝からずっと狩野川の崖に座っていました。その少年の顔はひどく深刻で、なにか悩んでいるようだったために、村人たちは心配になってきました。そしてその日の夕方、少年は入水自殺を図りました。崖から淵に飛び込んだんです。何か悩んでいる様子だった少年に気づきながらも何もできなかった村人たちはひどく悲しみ、その淵のそばに地蔵を祀り供養しました。 そして、その淵を「稚児ヶ淵」と名づけたのです。
もうわかりますよね? あの大学生が飛び込んだのは、まさに少年が自殺を図ったところだったのです…。 のろいかしら?ちなみに、少年を祀ったお地蔵さんは今でも例の現場にたっています。
それだけです。おやすみなさい。
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