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2006年9月
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2006/09/15(金) 容体急変..
すっかり朝になってしまった..ダラーと落ちてしまった皮膚は、右半分だけのはずだった..ところが..

タオルの隙間から見える皮膚は、全て黒ずんで見えた..そんな馬鹿な..でも、タオルをめくれない。
もう、一人ではいられない..ルークママさんと、コナママさんにメールを入れた..なかなか返信が来ない。
その時、電話が鳴った..コロンママさんからだった..電話口のママは、すでに涙声だった。
今の元気の状態を話した..二人とも泣きながら会話を続けた..遠いのが切ない..遠いのが辛い。
ルークママさんか、コナママさんに電話をして、助けを求めるようにと..そして、電話を切った。

泣きじゃくりながら、コナママさんに電話を入れた..そして、ルークママさんからも電話が入った。
二人共、すぐに飛んで来てくれた..真夜中に震えていた事を話すと「どうして連絡をくれないの?」
「何かあった時の為に、枕元に電話を置いてあるのに」..二人の優しい言葉が、心にしみた。
彼が帰って来た..足を見ようとしたので「見ないで〜」と叫んでしまった..あんな足を見せたくない。

足の処置をどうすれば良いか、病院へ電話を入れる事にした..私はとても話せる状態ではなかった。
彼が電話をかけて、抗生物質を取りに行く事になった..多分、飲んでも間に合う状態ではないだろう。
どうして、心臓の薬を貰いに行った時に、一緒に貰わなかったのだろう..いつも、いつでも後手後手だ。
午後、もう一度病院へ電話を入れた..患部を洗浄した方が良いかどうか尋ねる為だった..
0医師は、「連れてくる体力があるとは思えない..取れる物は取って、患部を消毒するように」と..
病院では死なせたくない..運んでる間に死んでしまう可能性もある..自分達で消毒をするしかない。

こんな状態なのに、元気は自力でオシッコとウンPを二つした..どうしてこんな力が残っているのか?
抗生物質を飲ませる為に、ご飯を食べさせた..三口位で苦しそうにしたが、薬もちゃんと飲んでくれた。
元気はどんなに辛い時でも私を悲しませない..病気が悪化してからも、私に対して気遣いをしていた。
だから、余計に病気が悪化してしまったのだろうか..もっと私がおおらかに接していたらと後悔している。

足の消毒をしなければならない..でも私は、どうしても足を見る事が出来ない..体が震えて来た。
そんな私を見て、彼とルークママさんが、消毒をする事になった..そして、部屋のドアが閉められた。
その間も、体の震えが止まらない..泣いてばかりの私を、コナママさんが優しく労ってくれていた..

彼が仕事に行く時間が近づいていた..元気の足の消毒をしてから、行ってくれる事になった。
彼とルークママさんが、消毒を始めた..今度は、私も立ち会う勇気が出たので、足の状態も確認した。
パパに抱かれた元気の顔は、とっても嬉しそうだった..大きな目をくりくりさせがら、私を見つめていた。
久し振りに、元気の顔を真っ正面から見る事が出来た..写真を撮りたかったが、体勢を続けられない。
私の目に焼き付けるしかなかった..以前から、彼に手伝って貰っていたらと、後悔の念が湧いて来た。

彼が出かける時間になった..「元気行ってくるからね」の挨拶をすると、自ら上半身を起こして、
「パパ、行ってらっしゃい〜」って、見送っていた..上半身を起こしたのは、これが最後だった。
きっと、パパに会えるのは、これが最後になると思って、残っている力を振り絞ったのだろう..
彼をベランダから見送ったら、ガンバレ!の合図が送られた..一番辛いのは、きっと彼だったろうな..
勤め先を早退した娘が駆けつけて来た..交代してくれる同僚がいないので、友人に頼んで来たそうだ。
元気は、娘の姿を見た途端、嬉しそうに一生懸命尻尾を振っていた..きっと会いたかったんだろうな。

彼が出かけてから、急に息づかいが荒くなって来た..鼻が詰まって、息をするのが苦しそうだった。
ルークママさんが、生理食塩水を作って来てくれた..ストローで鼻に入れたら、鼻の通りが良くなった。
呼吸が少し安定したので、ご飯を食べるように言われたが、何だか非常識な事のように感じた。
でも、朝からほとんど口にしていなかったので、娘が買って来てくれた物を、急いで口の中に詰め込んだ。
そして、不覚な事に眠くなって来た..少し眠るように言われたが、苦しむ元気を置いて眠るなんて..
元気の顔を見ながら、心の中で「少し寝てもいい?」と聞いてみた.「少しだけならいいよ」そう答えた。
元気から見えるように、玄関にある「熊さんマット」を枕にして、仮眠する事にした..5分位寝たかな?

「元気が呼んでるよ」..側へ行って体を撫でたら、安心した顔をしたけど、呼吸は益々荒くなって来た。
氷をあげると、むさぼりつくように食べ始めた..何度か繰り返したが、ストローでお水をあげる事にした。
何度も何度も、美味しそうに飲んでいた..そして、光のなかった目が動きだし、キラキラと輝き始めた。

もしかしたら、このまま持ち直すのではないか..そんな期待が湧いて来ていた..そうあって欲しかった。


      「パパ達が、消毒してくれました」             「お姉ちゃん、待ってたよ!」


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