独りごちる。
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2012/02/11(土) 天国からの届け物。
引越し先を見に行っての帰り。
父ちゃんから電話がかかってきた。
「大した用事があるわけじゃないんだけど」と話し出した
その内容は

冷凍庫に、中身が不明なタッパーがあり
私が作ったものではなく、誰が作ったのかも不明だったのだが
今日、それを解凍してみたところ、お母さんが作ったハヤシライスだった、という。
大豆入りで、とても美味しかった、と
とても嬉しそうだった。


私が最後に食べたおかんの手料理は、最初、チラシ寿司だと
思っていた。

昨年9月の終わり頃のこと。
相方と上田に旅行し、美味しいジャムを買った。
すると、相方が、実家用にと、知らないうちに通販で注文しておいてくれた。

小唄の帰りに届けようと、おかんに電話したところ
実は具合が悪く、週明けに胃カメラで検査することになっている、という。
心配させてはいけないので、ずっと黙っていたと。

いつも、おいで、おいでと自分から言うのに
今回に限っては、
不安もあるし、具合も悪いので
胃カメラの検査が済み、何でもなかった、ということがわかって
なーんだ、ということになったら、来て欲しい、という。

わかった。と、了解したものの
相方が、「具合が悪いなら、なおさら、こういうものを
食べさせてあげるべきだ。早く持って行ってあげた方がいい」と
言うので、再度電話し、「でも何の支度もしてあげられないから」というおかんに
置いて帰るだけだから、ご飯なんていらないし、
門の前で渡してすぐ帰るから、と、半ば強引に承諾させた。

小唄帰りに寄ってみると、なんと、おかんは、ご飯を用意していてくれた。
チラシ寿司と、秋刀魚と、味噌汁、サラダである。
本当に具合が悪くて、無理と思ったけど、やっぱりがんばって
作っちゃった、という。

二人が来てくれたら、なんだか元気でちゃったと
嬉しそうにしてくれた。

だが、その晩、激しい腹痛に見舞われ
そして週明け、病院で余命を宣告されたわけである。

結局、そのとき食べた食事が、最後の手料理だったのだ
と、思っていたのだが。

週末、実家に通い、食事の支度などをしていたが
ずっと、冷凍庫に、おかんの作った餃子があるのが気になっていた。
いつか、これを焼こう、焼こう、と思っていたのだが
なかなか機会がなかった。

とうとう、おかんが亡くなり、葬儀も済んで
ああ、もう、お母さんの手料理を食べることもないのか
と、思ったそのとき、「あっ」と思った。

ある。
お母さんの、手料理が、まだ残ってるじゃないか、と。

そして葬儀が終わった夜、おかんの餃子を焼いて
三人で食べたのだ。

一口食べたら、口いっぱいにじゅわーっと、おかんの味が広がって、あとはもう、涙で味もわからなくなった。
今日、骨になってしまったお母さんからの
二度と口にできない、最期の、最高のご馳走だった。

父ちゃんも、美味いな、最高だな、
「お母さん、うまいよーっ!」と言いながら
泣きながら食べていた。

と、いうことで、アタシが食べた、おかんの最期の手料理は
餃子だったのである。

父ちゃんもまた、同じだと思っていたのだが
おかんは、父ちゃんには、まだ残していたのである。

先週は49日の法要で、父ちゃんに料理を作ってもっていって
あげられなかった。
そしてまもなく引越しを控えているので、終わるまでは
なかなかいかれない。

とにかく父ちゃんの食事だけが気がかりでしょうがないのだが
「おかずは色々買ってるし、心配しなくて大丈夫」という。

でも、そんな出来合いのおかずを買って食べている
なんてことを考えると、切なくてたまらない。
栄養も偏るだろうし、なんとかしないと、、、と思っていたところへ、この電話だった。

おかんが、見かねて
天国から、父ちゃんに、愛と栄養を届けにきたのだと
思わざるを得ないのである。

写真は、最後に食べたおかんの手料理。
大分長いこと冷凍庫で潰れた状態であったので
形は悪いが、味は誰が何といおうと、世界一である。


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