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2007/05/19(土)
天晴着物馬鹿
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今日は、横須賀の着物仲間と遊んできた。 当初、新しくできた美術館に行こうと言っていたのだが、1人が昼間に参加できなくなったので、美術館はやめ、横須賀の着物やさんめぐりをして、で、毎度のことだが、夕方から飲もう。ということになった。
着物屋さんめぐりの目的は、前にも行った超ハイテンションなおばちゃんのいる店である。
で、おばちゃんの店に向かって二人でブラブラ歩いていると、後ろから『素敵なお召し物ねぇ〜』と、知らないおばちゃんに話しかけられた。なんでも、着物の仕立てを何十年もやっているのだそうで、我々の着物や帯に興味津々なのだという。
普通に花柄の着物を着ていたら、『ああ、着物だな』と素通りするところだったが、渋い着物を着ていて珍しいから声をかけてしまったとのこと。
自宅の一階が仕事部屋で、二階には、古着がたくさん置いてあると聞き、今度はこちらが興味津々になった。近くだというので、『どのへんですか』などと聞いてるうちに、初めて会ったそのおばちゃんのうちに、ちゃっかりお邪魔することになってしまった。
おばちゃんの家は、小さな中庭がある、古い家なのだが、なんとも雰囲気がいい。家の中に入ると、なるほど一階はお仕立ての部屋になっており、あちこちに着物が架かっている。
早速二階へ案内された。 『階段が急だから気をつけて』とおばちゃん。 昔の家だから、梯子並に急なのだが、なんだかそんな感じも懐かしくて嬉しい。
で、二階に行くなりビックリした。 ここはお宝部屋か!!と、思わずうなってしまいたくなるぐらい、古着の山・山。しかも、いずれも状態が良い。 仕立てをしている関係で、あちこちから『貰ってくれ』とか何とか言われているうちに、こんなに溜まってしまったのだと言う。
別に古着販売を商売にはしていないのだが、気に入った人には安く分けてあげるので、知る人ぞ知る古着屋なのだとか。
なんて言うと、アホみたいな高い値段で売りつける新手の商売か!?などと思ってしまいがちだが、そうではない。 本当に安いのだった。
アタシは浴衣を注文したばかりだし、木綿の着物も新調したいなと思っているので、今日は財布の紐が固かったが、友達は夏着物と紬の道中着を買った。いずれも状態良く、そして安かった。 おまけにおばちゃんがお直しをしてくれるので幅が足りなくても全然okなのである。
着物を見せてもらったり、友達が買った着物をおばちゃんが畳んだりしている間に、色んな話をしたのだが、ちょっと何か振ると、アルバムを持ってくるわ、ご自慢の着物や作品を出してくるわ、それぞれのエピソードは語り出すわで、話が全く尽きない。
アルバムが出てきたときはヤバイと思ったのだが、話が面白いのでついついこちらからも話題を振ってしまい、収集がつかなくなったのである。 結局、見ず知らずの方のお宅に3時間近くもお邪魔してしまったのだった。
でも、おばちゃん、、いや、先生と呼ぼう。先生の話は本当に面白くて、ためになることばかりだった。アタシはちゃっかりサイズが合わない着物のお直し方法まで聞きだしてしまった。イチョウの葉っぱで防虫ができるという話も興味深かった。
更に、三味線があるので、あれも売り物かと聞くと、ひとつは自分のだという。三味線もやるのかと聞くと、昔長唄を習っていたというので、実は自分はものすごく三味線に興味があって、教えてくれる人を探しているのだと伝えると、茅ヶ崎にいる自分のお茶の先生が、色々知ってるはずだという。 初心者が三味線を始めるとしたら、いくらぐらいかかるのかと聞くと、5、6万で一通りの道具は揃うとのこと。 なんとなく、この先生との出会いが、アタシの新しい趣味への扉を開いてしまったような気がしてならない。
何だか思いもかけぬ展開に、面白いながらも不思議な感じで先生の家を出て、そのまま超ハイテンションなおばちゃんの店に行った。
おばちゃんのテンションが、今日はいつもより低いな〜と思ったのも束の間、いきなりパワー全開になって、まあ喋る喋る。超早口でマシンガンのように喋りまくる。『アレがホラ、アレしてさ』みたいな調子なのだが、とにかくハイテンションなのである。
このおばちゃんもまた、あるとき突然着物にのめりこんでしまい、挙句、古道具と古着屋をやるまでになったのだという。
おばちゃんの店を出たアタシ達は、魂を抜かれたようにフラフラになってしまった。 なんというか、二大着物馬鹿に続けて出会って完全にノックアウトさせられた感がある。
なんだろう、あの二人のあのパワーは。 アタシなんかよりずっと年上なのだが、とにかく二人ともものすごいパワーだった。アタシはすっかりパワーを吸い取られた感があり、クタクタになってしまったのだった。 あの二人に比べれば、アタシなんかまだまだだ。 まさに、天晴。着物馬鹿万歳である。
喉もカラカラだったので、その後のビールの美味かったこと。 そうして、もう一人もやってきて、いつもの三人組でアホみたいに飲みまくり、横須賀の夜はふけたのだった。
それにしても、横須賀の町は面白い。 そこかしこに昭和の面影が残っていて、とても懐かしい香りがするのである。
古くて素朴なパン屋を見つけたら、シベリアケーキという、カステラの間に羊羹が挟まってるケーキで有名で、雑誌やテレビで紹介されたこともあるという。
お土産に買っていこうと、他のパン二個と共に早速購入。 そのまま飲みに行ったわけだが、もう23時近くになり、さあ帰ろうかというときに、パン屋の袋を覗いてビックリ。
シベリアケーキが入っていない。代わりに、『バターケーキ』なるものが入っているではないか。 オイオイ。肝心のシベリアケーキをバターケーキと間違って入れちゃってるじゃないの。 パン屋のおばちゃん、しっかりしてよ。
今日は、おばちゃんにやられっ放しの一日だった。
写真は今日のコーディネート。先日作った帯は、どこでも大好評だった。満足。
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![](/user/gumbo/img/2007_5/19.jpg) |
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