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2006/01/31(火)
亀の逆襲
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恐ろしい夢を見た。 何故か実家の庭にでかい池があり、その中を大量の巨大なウミガメが悠々と泳ぎ回っている。そして、その傍らにこれまた何故かスコップを持ったとーちゃんがおり、「●ちゃん(私のこと)が、亀なんか池に放つから、こんなことになっちゃった。どーすんだ」と言って怒っているのである。 そもそも何故ウミガメが池にいるのかわけがわからないが、夢の中で私はその事実を受け止め、反省しているのであった。 そして、どう処分するかという残酷な判断を下さねばならず(どうやらとーちゃんは持ってるスコップで叩き殺すか生き埋めにするかしようとしていたらしい)、うーん、うーんとうなっているところで目が覚めたのだ。最悪な朝だった。
これは、明らかに去年死なせてしまった銭亀「亀八(きはち)」の祟りである。 亀八は、正確に言えば、死なせてしまったのではなく、殺してしまったのだ。言い訳になるが、亀八を飼うのは命がけだった。やるかやられるかというところまできていたのである。 なぜか。
亀八を飼って、最初の年は何でもなかった。が、翌年、亀八が冬眠から覚め、再び冬眠に入るまでの間に、それは起きた。 亀八の餌は、よくある粒状の亀の餌と、乾燥糸ミミズである。粒状の餌はあんまり美味くないらしく、亀八のお気に入りは専ら乾燥糸ミミズであった。ところが、この乾燥糸ミミズで、私は生死の境をさまようことになる。こいつが、強烈なアレルゲンとなって、襲ってきたのだ。
最初、何が原因かわからなかった。 とにかく、くしゃみが出て、鼻水が滝のように出、咳が止まらず、喉の奥がかゆくてかゆくてたまらなくなる。喉の奥ばかりではなく、耳の奥も目もかゆくなる。そして夜、寝るときになると、決まって喘息の発作のようなものが起きる。一度、呼吸困難になり、本当に死を覚悟した。それぐらい酷い症状が出る。 これは稲かブタクサかと思っていた。
そのうちに、亀八が冬眠から覚めると同時に症状が発生していたことに気付く。そして、比較的家以外の場所では症状が軽く、亀八の餌をやり始めた途端、症状が急激に重くなることを知った。 耳鼻科に行き、アレルギーパッチの検査をしたところ、「何か動物を飼っていないか」と言われた。そこで、ピン!ときた私は、思いっきりキッパリと「飼ってます!!亀!!」と言ったのだが、逆に先生は、「え〜?亀ぇ〜?いやぁ、それは聞いたことがないなぁ」と、自信なさげになってしまったのである。 だが、私は確信した。絶対に乾燥糸ミミズがアレルゲンであると。
そして迎えた三年目。 亀八には悪いが、もう乾燥糸ミミズはやらないことにした。粒の餌でも食べられるんだし、我慢せい。ということで、ひたすら粒の餌を与え続けた。
が。 冬眠してすっかり忘れているかと思いきや、亀八は乾燥糸ミミズの味を忘れていなかったようだった。 粒の餌を食べないのである。ほんの少し食べて、「で? 例のやつは?」という顔で、こちらをジッと見る。 可愛そうだが、こっちも命がけだ。見て見ぬふりをして、「とにかくそれを食え」と念じた。
しかし、亀八は頑固だった。どんなに粒餌を与えても、一向に食おうとしない。ついにハンストに入ったのである。 ムキーッと思ったが、所詮亀である。いくらなんでも、粒の餌しかないとわかれば、空腹に耐え切れなくなって、そのうち食うだろうと思っていた。こうなったら根競べだ。
そして数日がすぎた。 亀八は、ベローっと手足を伸ばすポーズをすることが多くなった。「今年は変なことを覚えたなあ」などと思っていたが、なんとなく不安になって、チョンとつつくと、ヒョイと手足を引っ込めたので、安心して、「食えよ、粒を。」などと言っていた。
そしてまた数日。 朝見たら、またベローンという例のぐうたらスタイルである。 「おい」と突付いたら、反応がない。いやーな予感がして、覗いてみると、そこには膨張した亀八の顔があった。。。。 ガ━━━(゜Д゜;)━━━ン! ハンストの果て、亀八は死んでしまったのである。 どんなに後悔しても、もう遅かった。 ごめんよ、御免よーーーーーーーーーーーーっっっっと謝ったところで後の祭りである。
アパートには庭がないので、実家の庭に埋めて、お線香をあげ、丁重に葬ったが、亀八の恨みは相当なものだろうと覚悟した。 「死骸なんて持ってこないで頂戴」と、おかんに小言を言われながらも、実家に行く度にお線香をあげて「許してくれ」と謝った。
最近、それも怠りがちだ。 ウミガメ大繁殖の夢は、恐らく、そんな私に対する亀八の「オイ、てめーふざけんなよ」という、怒りの声に違いない。 お線香あげないと。。。 亀八よ、許せ。
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