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2008/02/09(土)
森 光子。
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森 光子が、年を取らないバケモノみたいに言われて久しいが、去年辺りから、テレビに出ていても何やら覇気がなく、うーん、さすがに寄る年波には勝てぬのか。という感じになってきた。
以前、ボケーッとテレビのチャンネルを回していたときに、何という芝居なのかわからないが、NHKの劇場への招待か何かで、放浪記ではない、森 光子主演の芝居がやっていたのを何気なしに見始め、気付いたらすっかり引き込まれて最後まで観てしまったことがある。
それまで、放浪記には全く興味がなかったのだが、あまりにもテレビで見た芝居が面白かったので、放浪記も見てみたいなと思うようになった。
ただ、見てみたいと思っただけで、行動に移るに至らなかった。 、、が。近年の森 光子の老齢ぶりに、こりゃ、ヤバイと思い始め、昨年、テレビで放浪記チケット発売のCMを見るや、慌ててGETしようとするも、既に間に合わず。 その際、来年こそはと、色々下準備をしておいたのが功を奏して、今年はめでたくGET することができた、というわけである。
しかしながら、でんぐり返し封印のニュース。 チェッ、ガッカリ。と、思わないでもなかった。
そして迎えた公演当日。 場所は、日比谷のシアタークリエ。昨年できたばかりの劇場らしい。あいにく、天候が悪く、超寒い。 13時開演だったので、おかんと二人、現地に到着するなり、まず昼を食べることにしたのだが、迷わずうどん屋に入った。 同じ考えの人々が、その後続々と入ってきて、うどん屋は間もなく満席に。アタシは味噌煮込みうどんを注文し、これでようやく体を温めることができた。
で、いよいよ開演。 森 光子が登場すると、拍手が起こった。 森 光子、ちっちゃくて可愛い。思わず、出てきただけで感動するアタシであった。
数回の休憩を含み、約3時間半。 始まるなり芝居に引き込まれ、アッという間に終わった。 で、「話題作りに見とこ〜」的な、極めて軽いミーハーだった自分を反省したのであった。
正直、でんぐり返しは、この際、見られようが見られまいが、どうでも良くなっていた。
凄い。凄いよ、森 光子(;O;) ホント、軽い気持ちで観に行っちゃって申し訳ない。
ハッキリ言ってしまうと、でんぐり返し封印も止むを得まいと実感できる程、森 光子の動きには、明らかな老いが感じられた。 動作は緩慢で、動きも小さい。NHK の劇場への招待で観たときと比べると、明らかに、元気がなくなった。そして、終始、左手、左足がヨイヨイみたいに、ユラユラと揺れてしまっていた。
これにはかなりショックを受けたのだが、86という年齢を考えれば、あれだけの可愛さを表現でき、3時間半、あれだけ動き回っていること自体が、脅威である。
舞台中央にひれ伏した形でのカーテンコール。 半分から右側の客席を、超ゆっくりと手で示し、深々とお辞儀。続いて左半分の客席を、同じように示して、同じようにお辞儀して、終了したのだが、その最後の無言のカーテンコールが、あまりにも壮絶というか、ものすごい執念みたいなものが感じられて、客席がシーンと静まりかえってしまった。
そのうちに、周囲から鼻をすする音が聞こえだした。みんな泣いてしまったのである。アタシも、芝居の最中は泣かなかったのだが、そのカーテンコールでノックアウトされ、思わず泣いてしまった。
なんだろ、あれ。凄すぎるんだけど。森 光子。 一言も発しないで、動作だけで泣かせるって。しかも数分間で。
なんというか、放浪記 は、もはや、林芙美子の半生を描くものではなく、同時に、森 光子という女優の人生を観せつけられる芝居となっているのではなかろうか。
動作が緩慢だろうが、でんぐり返し封印だろうが、ヨイヨイだろうが、そんなことはどうでも良いのである。 全部ひっくるめて、ホンモノの女優の執念みたいなものを見せてもらった。 それだけで、大満足。 オカンと二人で、ほんっっっとうに、観れて良かったね〜。と、感動して帰ってきたのであった。
森 光子さん、素晴らしいお芝居を見てくれてありがとう。
で、写真は、今日のコーディネート。 帰りは、みぞれがガンガン降って、最悪のコンディションであり、そうなることも充分予想していたのだったが、今日はどうしても着物で行くと決めていた。
これは、昨年事故で亡くなった叔母の形見の2反の反物から仕立てた着物のうちの、片方である。 もう一方は、既に正月や三味線デビューの折などに着ているが、こちらは今回が初めて。
元気であれば、今日は絶対に一緒に行っていたはずの叔母である。せめて、着物だけでも連れて行こうと、意地で着て行ったというわけだ。
最近、襟あわせが上手くできるようになった。 これも、生前の叔母の指導によるもの。
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![](/user/gumbo/img/2008_2/9.jpg) |
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