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2006/06/29(木)
春ちゃん
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駅の近くに駐車場を借りている。 管理人は、独身の気のいいおばちゃんである。名前を春ちゃんという。 春ちゃんはとても親切ないい人だ。 が、春ちゃんの親切に触れるたび、「親切って、時にアレだ。。」 という感想を抱いてしまうのである。
例えば春ちゃんは、車を停めてこれから出かけようというときに、追っかけてきてアイスをくれようとしたりする。 いや、これから駅に行き、電車に乗らねばならんから、、と丁重にお断りしようとするのだが、「歩きながり食べりゃいいじゃない」などと言う。齢40にさしかかろうという女が、1人でアイスをかじりながら歩くのはどうなのか、春ちゃんよ。と、思いつつ、色んな言い訳をしてお断りする。しぶしぶ諦める春ちゃんだが、出先から戻ってみると、車のミラーにビールの缶を入れたビニール袋がぶら下がっているのである。春ちゃんのうちは酒屋さんなのだ。「春ちゃん、、、アタシはビールは飲まん(T_T)」と思いつつ、春ちゃんの親切に痛み入る。
今日は、駐車場代を払うため、仕事帰りに春ちゃんちに立ち寄った。春ちゃんのうちは、玄関に色んなものがゴチャゴチャ置いてあり、お世辞にも綺麗とは言えない。 「汚くてごめんなさい」と恐縮する春ちゃんに、何か言わねばなるまいと、そこに並べて干してあった謎の木の実を指差して、「これ銀杏ですか?」と、別に興味もないのだが言ってみた。 すると、すかさず春ちゃんが「これ!?これ、びわよ!!お風呂に入れるとお肌つるっつるよ!!ちょっと待ってて!!」と言って、びわをチョイスし始めた。小さくてカピカピなので、およそびわには見えなかったが、とにかく春ちゃんは急に慌しく袋を持ってきたりびわをチョイスしたり大騒ぎなのだった。
貰っても明らかに腐らせて困ることになると思った私は、慌てて春ちゃんを止めたが、時既に遅し。 結局、あれやこれやと色んなものを持ち出して、巨大な夏みかんらしきもの二つと、シワシワのびわの実数個、それから干したびわの葉っぱを大量に袋に入れて、持たされてしまった。
あー、失敗した。と思いながらも、更に私はそこで失敗を犯した。玄関から出たところに、コスモスが咲いていたので、「あら〜、もうコスモス咲いてるんだ」などと余計なことを言ってしまったのである。
すると春ちゃん「そうなのよ〜。あっ、これ知ってる??これこれこれ」といって、何やらわからん草花を惜しげもなくポッキリ追って、私の目の前でそれをブンブン振り、「ねっいい匂いがするでしょ」という。実は嗅覚バカなアタシにはさっぱり匂わなかったのだが、「あっホントだね〜」と適当に話しを合わせてしまった。 「挿し木にすれば根がつくから」とのことで、結局その草花も持たされてしまった。「アパートだから土ないんすけど。。。」ともいえず、仕方がないので貰って帰り、コップに水を入れてとりあえず挿しておいたが、土曜日に実家に行くまでに果たして持ってくれるんだろうか。
このように、春ちゃんは実に気のいい人で、裏表のない、本当に親切な人である。
が。 やっぱ、親切って時にアレである。
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